Tuesday, December 5, 2006

[廈門・181日] 足もとの民俗劇

昨夜、中国語の授業を終え、相変わらず騒がしい老師が去った部屋、それでも外から鉦や太鼓の音。ん?この音は捨て置けないではないかと、どこからやってきているのかと、テラスに出て音の出先を探してみる。マンション敷地内の廟が煌々と照らされ、仮説の演台が設えられ、音はそこからやってきているではないか。飛び降りるようにエレベーターに乗り込み、寒空のなか、境内へと向かった。

歌仔劇、台湾では節目節目に、路上や一寸した広場で目にしてきた民俗劇。ここアモイは福建省、台湾へ渡来してきた人たちの故郷である。同じ神様を祭り、同じ民俗劇を演じ、同じ言葉を話す土地柄である。気分はまさに台湾。懐かしいのである。厚化粧の、華やかな衣装を纏って演じる男女、冬の寒空のもととはいえ、あの台湾のむせるような暑さのもとで覗いた伝承劇を思い出さずにはいられないのである。

境内はがらんとして人けは少ない。子供たちが舞台のかぶりつきに張り付き、本殿の階段を椅子代わりに住民たちが座り込んで聞き入っている。かれらは携帯のデジカメで様子を撮影する奇っ怪な老人を不思議そうに眺めていた。いくら北回帰線に近い場所とはいえ、夜は冷え込む。わたしは一通りの時間を過ごすと、そそくさと部屋へと戻っていった次第だ。

[ 写真: ここでは歌仔劇とはいわず、高甲劇と呼ぶそうだ。同じ系統の言葉とはいえ、違いも多いし大きいらしい。演台と観客の姿である。できたら夜でも暑さが染みこむ夏に見てみたかった。 ]

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