初出勤である。たまには仕事の話でもしてみたい。仕事は小さくても大きくても楽しくならなければやる気も起きない。このやる気を起こさせないのが会社というものらしい。どうもいたたまれないところがある。私を引き抜いたボスは、今やここでやる気があるとは、どうも見受けられない。それ故、私も引くに引けないのだ。
除夕の会食が始まる前、裏ボスから声がかかった。企業集団一番の稼ぎ頭、石油化学会社の本社ビル、といっても平屋建で、ここの地方色、台湾と同列の文化風土をもつ特色を表現した、とても長閑なヘッドクォータビル。このビルの中庭を純日本庭園に作り替えたいという。「どうだろう、誰かいないかい」、「庭師ですよね、必要なのは」、「関東風化ね、関西風化ね」。関東だと大文さんに聞いてみよう、関西は西沢門下生が一人いるな」など頭に思い浮かべながら話をしていた。
今日、西沢門下生に電話をしてみた。伊丹にアトリエをもち、日本風建築に手を出し、西沢文隆さんの晩年、手となり足となった人間だ。さすがに詳しい。なおかつ、西沢さんは中国庭園にも精通していた。彼亡き後、文献を整理し、本をつくりあげている。あとは裏ボスのメンツが立てられるか、いわゆる有名人かどうか。庭師に有名人っているのだろうか聞いてみる。門下生曰く、今や庭師も施工会社と同じに成り下がってしまい、商品を売り込むため、庭に手をかけすぎているらしい。
さっそく昼過ぎに本社ビルを訪れ写真を撮ってきた。先ほどコメント付きで写真をメールに添付した。彼からどんな返事が来るだろうか。どんな資料が送られてくるだろうか、楽しみである。私は日本庭園の設計は門外漢である。それだけに興味も沸いてきた。
[ 写真: 現在の本社ビル中庭。一応日本庭園風の要素は備えているが、散漫としてヘソがない。真四角のビルで方向性に乏しく、廊下を巡りながらの変化にも乏しい。第一ここは亜熱帯地方である。紅葉も落葉もない。さあどう取り組むことになるのか・・・。 ]
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