
マンションの13階には三個の住戸がある。そのうちの一つは空屋、昨夜物音がしたので、今朝方見てみると、正月飾りが飾られていた。大家がやってきていたようだ。お隣は賑やかに新年を迎えた。扉が開け放され、中には大勢の人たちが着飾って会話を楽しんでいる。あるじは白いワイシャツにネクタイ姿。客をもてなしている。私は寝間着姿に中国服を纏い、日頃と変わらず部屋の中を行き来する。ただそれだけである。みなそれなりの正月を迎えたことになる。
春節には大勢より集まって賑やかに過ごす。これが慣わし。部屋中を大紅色の飾り物が一面に貼り付けられる。マンション入り口には鈴なりに実った鉢植えのミカンが一対据えられている。至る所大紅、これが田舎あたりだったらさぞかし賑やかに見えたに違いない。中国語の教師が私に問う。「部屋を飾らなければ」、わたし「いらないよ」。帰郷の前日、見るに見かねてか、中国はこうなのだといいたかったのか、私の意図に反し、壁の至る所にコブタが張り巡らされてしまった。先の見えない新年、それでも「新年快楽!」。
[ 写真: 亥年とはいえ、この豚はないだろうというばかりのピンクのコブタ。よくも選び出したものだ。 ]
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