Friday, February 23, 2007

[廈門・262日] フェリーの客

久しぶりの太陽、それだけで気分がいい。この五日間、若き人妻の家に夕食を招待された以外、市場への買い物と隣のタバコ屋に足を運んだだけで、外出らしい外出はなかった。今日こそ外に出なくては・・・

船旅日和である。廈門本島から隣町まで出かけてみることにする。若き人妻に連絡入れるも、すげなく断られてしまった。で、フェリー乗り場がどこか尋ねると、あなたには判らないところよ、あとで案内してあげる、だと。この天気午後にどう変わるか判らないのだ。逃すわけにはいかない。一人で出かけることにした。

客用フェリー乗り場は旧市街地の出口にある。タクシーを拾い運転手に聞く。埠頭は長く、かついろいろな方面で乗り場が違う。案内に聞く。あっち、とだけ答えた。仕方なくらしき方向へと向かう。路地風の細い道の先に小さな建物。切符売り場のオバサン、「ほらほら急いで、今出るところ」。二元を船内で支払う。客は私を入れて六人ほど、小さな船である。それでも風を切って隣の港へと進んでいった。

ステンレスのか細いベンチに座し、日射しを受け、エンジン音とディーゼル油の臭いを嗅ぎ、ほんの十五分ほどの船旅は終わった。向かいの港は閑散とし、人影少なく、遙か先にニュータウンのスカイラインが見えるだけという長閑さ。港には十数隻の漁船が停泊、採りたての魚を小さなポリバケツで陸揚げし、露店を開こうとしていた。

戻りの便を待つ間、埠頭の漁船、おばちゃんが船尾で肉を捌き始めた。大きな俎板の上、リブ付きの肉をバシバシと叩いている。一時間ほどで船がやってきた。のんびりと海面を眺め都会へと戻った。

帰りのタクシー、携帯が鳴った。若き人妻がこれからフェリーへ案内するという。すでに帰路についていることを伝えて携帯を切った。

[ 写真: 港内は波も立たず凪っている。漁船の船体が美しい。高校時代、よく港に出かけては船のシルエットを画にしたことを思い出した。 ]

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