私の仕事上のポジションは設計総監。私には何を意味しているのかよく分からない。どうやら設計の専門職ということらしい。言葉が不自由だ、中文の読み書きがままならない、などの理由からか、いわゆるマネージャという立場には立てないらしい。私はそれで満足しているのだが、昨年一緒に来た連中は総経理や副総経理などの肩書きを持ち、会社の経営会議に参加している。
この会議に提出する資料の作成が大変らしい。ボスから資料の承認をもらうのが至難の業だという。それゆえ、厄介な仕事のない私は恵まれているという。わたしにいわせれば、それがイヤならポストを代えてもらえばいいだけのことで、それができないなら愚痴はこぼさないでほしいといいたい。今日もそうだった。おかげで疲れがどっと出てきた。
私は、仕事はジョブでこなすのでなく、ロール、役割でこなすものだと思っている。だから専門家なのだ。麗江を担当している若造は、初めての副総経理という役割がこなせない。廈門に出張にきてはボスからさんざんに絞られている。彼にいわせると、不条理な絞り方だという。
幸か不幸か私はボスに絞られたことがない。しかし脇から聞いていると絞られていると思うらしい。ただ口うるさいだけで、内容は理にかなっている。不条理とは言い難い。日本にいたとき、ある大手不動産のプロジェクトに関係した。この会社の若造たちの口うるさかったこと、廈門のボス以上だった。それを思えばなんてことはない。いかにこの不条理を料理するか、それが楽しめないようでは、麗江の若造はまだヒヨッコだ。
不条理の仕打ちを受けたと口早に話したあと、ホテルのブッフェでローストビーフをたらふく口にしている姿は、先ほどの愚痴はどこ吹く風という様である。どう考えも彼は副総経理というポストを棄てられないだろう。ちなみに私の名刺には、総監と並列して建築師と記されている。私はそれで満足なのだ。なぜなら私の役割であり、他の人には代えられないものなのだから・・・。
[ 写真: 時には現場に出て、側溝蓋の品定めをしたりもする。グラスファイバーコンクリート製である。左の製品は右の約五割高だ。製品の選定を終えると、しっかりサインさせられる。「同意、ブリキネコ」。 ]
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