"老頭子"は「クソジジイ」と訳すのが最適かと思ったのだが、これは何やらの禁止用語に該当するのだろうか。してもしなくても「クソジジイ」は響がいい。中国語の辞書でも、年老いたご亭主を、伴侶が"老頭子"と呼ぶと記されていた。日本でも同様な気がしたのだが・・・。
日本からやってきたクソジジイ、この友で、若く面倒見のいい人妻について話しておきたい。年齢二十九歳(こちらは数え年)。廈門に隣接する小さな農村の長女。下に弟、一人っ子政策は弟誕生頃から始まった。廈門大学で国際経営学を学び、卒業後いくつかの職場を渡り歩き、昨年五月、私に先立つこと一ヶ月前、今の会社に就職した。福建省随一の大学を卒業したからといって、恵まれた仕事を手にすることは至難の業らしい。そのくせ、彼女、自分が卒業した大学について素直に語らない。会社で働く多くの女性が廈門大学卒業だったりする。
なにしろ十三億の人口を抱えるこの国、一つの大学入学者が万にちかいというからすごい。当然社会に出てもこの数から逃れるわけにはいかない。まだビジネスの確立していない中国、ホワイトカラーの需要は細い。ここ廈門、多くの、大学はもちろん、高卒なぞ思いもつかない若者のなんと多いことか。会社が所有するホテル付近一帯、建設現場が多いこともあって、昼時、退社時、肉体労働に従事する全中国各地からやってきた若者たちがぞろぞろとわき出してくる。十三億という数は想像を絶するだろう。
十六の時、地元で今のご亭主と知り合い、十年間付き合った末結婚、三十才を前に子供を産む段取りをした。法的な結婚が遅れるのは経済的理由、共稼ぎでなんとか家の購入ができれば正式に結婚したい。多くの若夫婦がこのような人生設計しているという。結婚式は挙げていない。私の住む高級住宅地に近いマンションを夫婦共同で購入、自分で室内設計をし、それがまた簡素で品がいい。元ボスも同じマンションに住んでいるが、その内装とは一線を画する。部屋も五十坪と広々としている。購入時、ひと坪二万元(日本円約三十万)だったのが、今では倍近くに跳ね上がっているらしい。廈門の住宅の価格はひたすら高騰しているのだ。
彼女、こよなく美しくありたいと願うご婦人。しかし、先日はウィンドウショッピングに留め、あと一年、出産まで、ほしい衣装に手を出すこともできないと嘆いていた。そんな魅力的な彼女に忠告するとしたら、つっけんどんな話し方と、雪駄履きの歩き方はなおした方がいいということか・・・。
(注:「雪駄履きの歩き方」とは、下町の若衆やその筋の方々が足を外側に投げ出すようにして歩く様。こちらでは目にしたことがなかった。)
[ 写真: 先々日は五月五日、こどもの日である。まな娘が送ってきた写真。息子のぶっとい足である。しっかりと自分を支えている。亭主がプロサッカー選手を目指したこともあって、この足をいたく気に入っているという。 ]
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