Thursday, August 26, 2004

「岩肌をよじ登る民家ー釜山の電柱」十年後記


・・・  釜山の傾斜地住宅では、1階の壁の延長が上にすむ住まいの壁へと続ながっていく。屋根は集落の共用の通路として利用され、時には子供達のかっこうな遊び 場となり、キムチの壷置き場、洗濯物干し場として使い分けられる。複層した用途が空間にはり付いてくる。場があれば機能を誘発する。現代建築の、着せ換え 人形のような物つくりでは、決して創り出せない空間を、釜山の山は教えてくれているかのようである。 ・・・ photo:(C)Eiji KITADA

「日本のお父さん」という表現は外国人が日本を言い当ててなかなかの表現だと思った。外から見ると日本の「お父さん」は総理大臣ではなく、「天皇」なのだ。

台湾の飲み屋で女の子が日本と台湾の比較する際に口にするのが、「わたしたちの総統、あなたたちの天皇」。少し時代を遡って日本の中国識者竹内好さんが、 「外国人に日本人のものの見方考え方を知ってもらうのに紹介するのは教育勅語です」という文章をどこかに書いていた。書かれたのは60年代だったかもしれ ないので、高度成長期の日本人を教育勅語の精神が言い表しているのだと思われる。
竹内さんは教育勅語を批判的に引用しているのではなかった。天皇制を悪用したのは軍人たちだという思いがあったのだと思う。

台湾で仕事をしていたとき、幼少時に日本教育を受けた方々からよく教育勅語を聞かされた。今でもまるまる暗唱できる。これは驚きだった。

先日、写真家の北田君がソウルから戻ってきた。総督府のない風景、ファーストフードとローマ字の看板、地下鉄の車両にまで張り巡らされた携帯電話網。かつ て、儒教の教えが色濃く残っているのは韓国しかない、といっていたのが嘘のようだ。目上の人と話をするときは顔を横に向けて話をしなさい、先にたばこを吸 うのはやめましょう、などなどごく日常の仕草にも礼節があったのだが、携帯電話の普及はそんな話を無縁にしてしまったのではないか。

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