Friday, August 13, 2004

結婚披露宴の特別な出し物

舞台の上では妙齢な女性が、薄い衣装の端を手に、天女のように舞っていました。バンドの音にあわせて、衣装を一枚はぎ、そしてもう一枚。もう彼女の身体には胸と腰を覆うわずかな布切れのみに・・・

台 北に滞在してもうかなりの時間がたっていました。いろいろな方にいろいろな場所、いろいろな食べ物、いろいろな体験を味あわせてもらいました。しかしなが ら、いまだに結婚式に参加したことがありません。縁起ものですから、では今週末に、というわけにはいきません。いつか機会があったらと話をしておいたとこ ろ、ホテル地下室のスナックで歌を歌っている女性から話が来ました。昔のバンド仲間、流しで彼女同様歌を歌っていた女性が、結婚式を挙げることになったか らいきませんか、との誘いです。

台北市内、頂好市場近くのどこか、建物が密集する一角の大きな集会場(体育館?)に、たくさんの丸テーブルと大勢の客人たち。こちらの披露宴でスピーチが 披露されることはほとんどないそうです。ただただ飲んで食べておしゃべりをして。新郎は料理の先生、つまり板前、がっしりとした体と丸太のような腕。そこ には見事な刺青を見ることができます。新婦は歌手、酒家(日本でいうキャバレーらしいのですが、猥雑な感じはありません。酒と料理とバンドと大きな丸テー ブルの客に女性が同席する大きな個室。流しには稼ぎ場所です。)、クラブ、宴席、結婚式、葬式のお清めの場等々で、バンドといっしょに歌ってきたそうで す。小柄でとてもかわいらしい方でした。

新婦とその仲間たちは歌い手さんです。当然のように舞台に呼び出され、歌を披露させられることになります。ホテル地下室の彼女、持ち歌は「潮来のいたろう」、マイクなしで会場に声が響き渡りました。ほかの歌手仲間も次々と歌を聞かせていきます。やんやの拍手喝さいです。

宴も終わりにちかずくと、薄衣に厚化粧の女性が足早に舞台中央へ。バンドの割れたラッパの音とともに身体をくねらせながら踊りを披露し始めました。薄い衣 装の端を手に、天女のように舞っています。そしてバンドの音にあわせて、衣装を一枚はぎ、そしてもう一枚と脱ぎ始めたのです。もう彼女の身体には胸と腰を 覆うわずかな布切れのみに。私はただただ驚き、目を点にして舞台の上を見つめています。しかし会場では変わらずおしゃべりの声が行き交わされ、舞台の上の 出来事に注目する人は見当たりません。一瞬踊り子が胸の紐を横に引き、彼女の肌があらわに。と同時に、彼女は胸に手を当て小走りに舞台裏に消えていきまし た。会場はあいも変わらず喧騒に包まれていました。

「もちろん違法です。警察には話しつけてあると思いますよ」。ホテルの彼女はそう説明してくれた。
昔々のお話です。今でも田舎にいけばあるかもしれませんし、日本でもかつて、このような楽しみ方をしたことがあったかもしれません。限られた娯楽を精一杯楽しんだ、古きよき時代だったのかもしれません。(といってもわずか二十数年前か・・・)

[写真:結婚披露宴のテーブルと二人の女性歌手]

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