道に迷う。いろいろな意味で使われている。恋の道、悪の道、人生の道、そして単純に道に迷う。今回のお話しは、単純に道に迷って酩酊した話しであります。
先週末、会食の誘いがあり、電話で店の場所を伝えてきた。湖濱南路と湖濱中路近くの深海魚を食わせる店だ、と。了解、では何時にそこに行きますです。しばらくしてまた電話。路を伝え間違いましたです、正しくは湖濱中路ではなく湖濱東路であるのです。はいはい分かりましたです、と答えた。
時間に遅れず、正確に店に着く、誉れ高き日本人の良き見本とばかりに出かけた。タクシーを拾い行き先を告げる。運ちゃんが聞き返した。東路?中路?。私ここで不安に駆られた。発音が正確でなく、「東」と「中」とを聞き間違えられている。中路であります、運ちゃん、ハイヨ。週末ながら路は空いており、約束の時間はるか前に交差点について下車した。
ん?いくら探しても目当ての店が見当たらない。時間がどんどん過ぎていく。店に着いたらしい友人から電話が入る。一寸まって、店が見当たらない。中路のどこそこだよね、と答えると、アホ東路だ!。はいよはいよ、まもなくつきますですよ。歩き始めたものの、なかなか東路までいきつかない。店では私以外の方々がすでに揃っているらしい。麗江の若造から電話が入る。どこにいるの?わたし、何々ホテルの前。何考えてんの、まだまだ先でありんすよ、歩いては夜が明けてしまうですよ。
廈門市は島にある。小さな島である。地図を見ても、端から端まで簡単にいけそうな気がする。だからといって歩いたこともなければ、車で端まで行ったこともない。先入観が道を間違えさせた。道に迷ったのだ。夜とはいえ、真夏の廈門。歩くほどに汗がしたたる。タクシーをつかまえるほどの距離ではないと、思えば思うほど歩いてしまう。更に汗がわき出る。
結局、店に着いたのは五十分遅れ。みなに詫びを入れる代わりに、駆けつけ三杯、それもビールに白酒を注いで一気飲みした。知らなかったが、ビールと白酒は相性がいい。口当たりがいい。旨い。実際旨かった。一気に酔いが回ってしまった。
あまりにもミックスビールが旨かった。いい気分で食後にみなで珈琲店に。気が大きくなったついでに、ボスを呼び出そうと提案するも、誰もが尻込みする。ではあたしが・・・と携帯を叩く。ボス、不審そうに聞き返す。「ブリキネコさんか?」、「はい、そうです。ボスの住まいの隣の珈琲店にいます。」、「え?誰とかね?」、「麗江の若造と、誰々と、なにそれと・・・」、一寸間があってから、「かけ直すわ」。
しばーらくして私にではなく、麗江の若造の携帯が鳴った。若造、ボスからと分かると、ホテルの医院の董事長に投げるように渡した。昼間怒鳴られ、ここでまた何を言われるか分からないと思ったのだ。受け取った董事長、女性である。ボスは彼女には優しい。彼女、楽しそうにボスに嘘八百を並べ上げて話している・・・
私はかつて電話魔と言われていたことがある。酔うと電話をしまくる。丹下健三さんのお弟子さんの家で酒を飲んでいた。悪い癖が出た。何人かに電話しまくった後、「丹下さんを呼び出そう!」。お弟子さん、「そそそれだけは辞めとけ!」
[ 写真: マンションからは、旧市街、老街が見渡せる。老街の中は細く曲がりくねった路。ここも道に迷う。 ]
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