Monday, December 28, 2009

[台北] 巷の青空市場


台北の住所表示は分かりやすい。まず「通り」名称、そこの何「段」、挟んで片側が偶数「号」反対側が奇数「号」、大通りから中に入ると「巷」、巷の何「号」、何「楼」何号「室」となる。たとえば私の場合「台北市中山北路二段77巷○○号○楼之○室」。三十年にもなるだろうか、昔馴染みのホテルの隣に移転してきた。

その昔、台北で仕事をしていた時、週末の自由時間、散歩して目にしたのが近くの鉄道線路脇で警官とイタチごっこをしていた屋台の群れ。その屋台が姿を消し、鉄道路線は地下鉄として地下に移った。空き地となった路線上には樹木が植えられ緑陰ができ、老人子供の憩いの場所になった。かつての雑踏は姿を消して、と思っていたところ、その頃の屋台に代わり、公園脇の細い「巷」に、ある時間を除くと姿を消す市場が立っていた。それでなくてもこの巷には小さな店が立ち並んでおり、昼時を挟んだ数時間、ここは以前以上に雑踏となっている。そのほとんどは食材と惣菜、そしてなかには小物売りもいる。老台北の面影が色濃く残されているのだ。なかにいるだけで気分がなごむから不思議だ。

「巷」とはよくいったもので、やはり大昔に四ツ谷の谷まちに一時期住んだ頃があり、ここも雑踏の中にあった。雑踏をかき分け路地に入りこんで我が家に行きついた。数年前、仲間たちと東京三河島の商店街を散策したが、そこにはいまでも「巷」が残っていた。台北に移ってからというもの、都会の味わいはこんなところにあるのだろうと勝手に妄想した。

ここに移転する前に住んでいた「巷」もそうだが、界隈に味わいがあり、「素食」の店があり、人懐っこい人たちがいる。車で半時かけずに山あいの集落に行きつける。台湾も悪くない。

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