昨夜映画三昧極め付けを見た。
五年ほど前、ソウルで起きた猟奇的連続殺人事件を覚えておいでだろうか。事件の真相がわかるにつれ、そのおぞましさに韓国中が驚愕したことを。ネット映画を探しているうちにそんな事件を下敷きにした映画にぶち当たった。今年封切られ、R18指定にもかかわらず、観客動員数がトップに躍り出たという「追撃者」。
事件と犯人の詳細はblog「エトセトラ黙示録」を、映画の内容は”blog「かわやん」”の”韓国映画「追撃者」はなぜ成功したのか”を見ていただくことにして、アタシは何気なくポチし、見はじめ、当時を思い出した。記憶では、歓楽街の女性が次々と姿を消し、その筋の女性たちが恐れ慄いた、というものだ。ブログによると、21人とも31人ともいう人間が、わずか10カ月の間に一人の人間によって殺害されたという。
映画はよくできていた。話もよかった。俳優もよかった。あえて殺人鬼の動機を追わなかったのも映画の質を押し上げたといっていい。映画はアタシにとっていろいろなことを教えてくれるし、考えさせてくれる。光州事変に疎かったものの、「砂時計」という連続TVドラマがそのきっかけをつくってくれた。映画「ユリョン・幽霊」では、日韓もし戦えば、いやなぜ韓国は日米を仮想敵国に仕立てているのか、なんて話にもっていってくれる。戦争が殺人をする。わかりやすい。わからないのは、この猟奇殺人事件のような殺人。心理学者が、犯罪アナリストがあれこれ語ってくれるが、答えになっていない。
いまだ読み終えていない長編小説、中里介山の「大菩薩峠」。ここにも殺人鬼が登場する。机龍之介がそれだ。ある友は、「大菩薩峠」はユートピアを探す旅の話だといった。では机龍之介は殺人でカタルシスを得てユートピアに近づこうとしたのだろうか。やはりわからない。「追撃者」は記憶に残る映画だった。アタシの中で読み砕かれるには時間がかかりそうだ。
[ MEMO: アタシは韓国の俳優に疎い。「追撃者」の俳優も監督も詳しくない。この映画はそんな前知識は必要なかった。いやー、しかし " no country for oldman " にしても近頃の映画は人がよく殺される、残酷に。 ]
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