Saturday, February 16, 2008

[廈門・612天] 離開 - 友、遠方より来たる

[離開 li2kai4 ]:(人、物、場所から)離れる。(クラウン中日辞典)

初めての賓客である。一年半、ここアモイに来て、初めての日本の客人である。かつて、魅力的な中国人夫人と連れ合いになられた友がカミさんの実家を訪れたついでにということはあったものの、アタシを訪ねてやってきた人間が今回初めてとは、仁徳の至らないところか。まあ仕方がないこととはいえ、友、アタシがこの地を離れるとあってそそくさとおいでいただいたわけである。わずか四日間とはいえ、四六時中日本語を話していたのは何年ぶりのことであろうか・・・。

偏屈な客人故、粗相があってはいけないと、練ったスケジュールはシンプルに。現代のアモイを一日、古いアモイを一日、独特な建築様式をもった住まいに一日。現代のアモイ、八十年代、門戸開放以降、特別経済特区として台湾からの積極的な投資を誘致するため、現代的な都市づくりを行った成果をお見せした。客人、町のきれいさと日本と変わらない風景に異国情緒は味わえなかっただろう。いや日本以上に西洋感覚の風景、人造湖周辺を散策し、珈琲店で雑談し、タイ料理を口にしていただいた。しかし客人、初めのひと品以外口に合わなかったようで、口をすぼめて何やら呻いていた。

期待した天候の回復はなく、曇天の空に寒気団、蒲団がないからひと組み購入しましょうの提案にも、いやいや東京と比べればと受け入れてもらえず、ひと夜を過ごせば、イヤー寒かったなー。二日目、結局客人綿布団を買い足した。その効力にいたく感動したのか、翌朝、効能の程度を口にされ続けておいでだった。風邪をひかれては面目立たず、一安心した次第である。しかし寒い、二日目の会食は、ばかでかいレストランにガッコの先生が招待してくれたものの、あまりの寒さに、アタシは酒も食い物ものどを通らない状態だった。

二日目。かつて疎開だった島に渡る。フェリーに乗り、車のない島内を、老街をさまよう。異国情緒たっぷりの路地裏。ふと目にした小奇麗な店構え。おい、コーヒーでも飲もうぜと店内に向うも、いやそこはホテル、開店したばかりのプチホテルであった。古いレンガ造三階建ての民家を改造し、まるで南仏かどこかを思わせるような設え。いやいやここならお友達とひと夜を…感覚である。部屋を拝見させていただいたが、窓からは、赤い瓦煉瓦の家並みが眺められた。

客人、時間のたつのも気にせず、あちらこちらとぶらぶらされていた。そう、のんきの過ごせる場所である、時間さえあれば。しかしまだ旅の一部を覗いたにすぎない。スケジュールに縛られるのがお嫌いな客人、そんな心配をよそに、またぶらぶら。何しろ寝具を購入しなければならないのだ。本島に戻り、そこにある老街で二晩限りの寝具を探さねばならない。満員のフェリーの客となり、埠頭の真ん前の老街へと向かった。

さあ、あすは客家人が住み続けた土楼を見に行く。朝が早い。客人、夜十一時には、ずっしりとした綿の掛け布団へと入っていった。

[ MEMO: アモイ本島の向かい、かつての疎開、コロンス島の路地裏。こんな風景がいたるところに見受けられる。絵かきとその弟子か、キャンバスをイーゼルに立て、創作に勤しんでおられた。客人、その色づかいに一言。 ]

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