Sunday, March 2, 2008

[廈門・628天] "no country for old men"

風邪をひいていた。それもかなり強烈な。日本からやってきた偏屈な友人、友人はこの表現がいたく不満そうだったが、その友人が去り、ホッとしたところで体が変調をきたした。そもそもアモイ五十年来の寒波が続いたこともあり、寒さはアタシの体の隅々まで浸みこんでいた。偏屈な友人が寒いだろうからとわざわざ日本から用意してきてくれたカイロ、それを背中に貼っても何も感じなかった。ウソだろーという表情を浮かべた友人だったが、アタシは何も感じなかった。そう、あらゆる疲労が体の血行を止めていたらしい。

友人が去って一週間、アタシはひたすら床の中にいた。頭痛、筋肉痛、咳に痰、徐々に徐々に表れてきた。症状がはっきりしたおかげで、対処方法もわかってきた。ひたすら休むことだ。そしてさらに一週間、今アタシは馴染みの珈琲店でこの原稿を書いている。家から徒歩三十分、久しぶりに体を使った。少し足は痛んだものの、春節を終え、気候は一挙に春模様に変わっている。気分の悪いわけがない。

体が元に戻るにつれ、暇をもてあまし始めてからというもの、近頃の映画事情に疎くなっていたのでインターネットから面白そうなのを探して観はじめた。中国圏のものは「色・戒」にしろ「迷失北京」(中国では「林檎 ping1guo3 」)にしろ話題作は男と女の性が表に出たものばかり、元気といえば元気だが、それに輪をかけて香港でのエディソン・チャンと女友達との元気な話題が満載、とあるところで大量の現場写真を見ることができたが、中国人、実に元気であります。元気すぎでアタシのような枯れかかっている者にとってはただただ疲れるだけ、何かないかと探るうちに見つけたのが米国映画「ノーカントリー」。

もともとネット配信されてくる eBooks で目にした小説の題名をいたく気に入っていた。"no country for old man"、おーアタシのことではないかー、と勝手に思い込んでいた。その実、この小説が映画化されており、アカデミー賞なぞというお祭りにはいたく興味のないアタシだが、そこでノミネートされていることは知らなかった。ではどんなものか、昨夜、米国の底なしの絶望みたいな映画を眺めたばかりである。もし、片田舎の保安官、トミー・リー・ジョーンズの姿がなければ、まったくもってどうしようもない想いに落ちていたかもしれない。

"no country for old man"、これをどう訳すのが適切なのかアタシにはよくわからない。殺戮が絶え間なく続くものの、男女の絡みが一切ないのがアタシの今の状態にふさわしい思いがした。この映画の前に見た、マット・デーモンの特工( te4gong1 特殊工作員)シリーズもそうだったし、老いたランボーIVにも絡みらしい絡みはなかった。米国は年老いたのか、精神を病んで久しいのか、ミッキーマウス同様性器を失ったのか。

元在籍した会社の若造、麗江の若造が問題を引き起こしているらしい。女を囲い、社員としてそれなりの職を与え、会社の金で養っていると噂が入ってきた。同じ立場の本社の人間の倍の給与らしい。そりゃ問題になるわな、本当ならば・・・。

かくも各様、アタシの周りは「絡み」で騒々しい。中国、元気なのだ。

[ MEMO: ホッとしたいところでネココの写真。アモイ大学構内、その一角に一族郎党か、仲間たちか、集団生活を送っていたネココを見つけた。 ]

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