Thursday, February 7, 2008

[廈門・607天] 離開 - 大晦日の食卓

[離開 li2kai4 ]:(人、物、場所から)離れる。(クラウン中日辞典)

大晦日の夕食、鍋に火を入れようにも電気プレートは暖まらない。客庁(客用の居間と思えばいい)に照明もない。それになによりしんしんと寒い。蝋燭を四本立てて雰囲気だけは醸し出している。乳飲み子を抱える姐姐の弟がLCDの懐中電灯をかざす。親父さん、厨房からLPGボンベと鍋を持ち込む・・・。

村じゅうが停電なのだ。新年を迎えるにあたり、外に出ていた連中がみな戻ってくる。さあ一家あげてご馳走だ、この寒さだ、鍋だ煮物だと家中の電気製品のスイッチが入る。これで変電所は簡単に音を上げたのだ。昔はそんなことはなかった。急速な高度成長、農村にも電化製品がどんどん入ってきた。一帯いつまで停電は続くのか、夕方四時からだ。ほんの一瞬照明器具が瞬く物の、直ぐさま消え去っていく。

アタシの大晦日はこうして始まった。早朝、掛け布団に枕を抱え、アタシの考えていた彼女の家をおもんバカって用意したが取り越し苦労だった。廈門に隣接する小都市郊外の、かなり大きな農村。みな生活苦に・・・と思いきや、廈門へ出荷する数々の農産物でそれなりに潤っているようだ。彼女の家には大きな寝室が三つ、小綺麗で清潔感がある。しっかりとしたベットにおしゃれな掛け布団、余計な心配をしたものだ、だったが、持ち込んだ寝具は意外にも役だった。なにしろ寒いのだ。住み手たちは寒いなーというものの、上掛け一枚で寝込んでいる。アタシにはなくてはならなかった。

昼前、村に入り、昼食後、姐姐の弟が村を案内してくれた。彼女の家は西門の近く、そこから四つ辻に出て、東門へと向かう。細くうねった路地はバイクが走るのが精一杯。昔ながらの煉瓦造りの家並みを過ぎると、急に賑やかになる。ながーい市場の始まりだ。閑散としてなぞいない。ここの人たちは海鮮が好きだ。牡蛎もある。その場で殻を捌いている。大晦日、今年最後の店開き。弟は理髪店を覗くも、客待ち状態だった。賑わいが途切れるとそこは村はずれの南門。そこから別の路で西門へと歩いた。

電気が通ったのは、結局夜の九時少し前、家中から歓声が聞こえる。こちらは既にローソクディナーを終えていた。この家に一台の電気ストーブ、それも赤子用、で足を温め床についた。暗闇のなか、爆竹の音が近くから遠方から聞こえてくる。いつまでもいつまでも・・・。

こうして農暦の大晦日が過ぎた。

[ MEMO: ローソクディナーのテーブル。蟹に牡蛎に先ほどまで裏庭で元気だった一羽の鶏に・・・と、ご馳走の山だが、アタシには一寸脂気が多すぎた。鍋に野菜をつぎ込んでは一人箸を運んでいた。それにしてもシンシンと寒さが忍び寄る。まるで冬の勝間のようだった。 ]

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