Monday, March 19, 2007

[廈門・286日] 都会の憂愁

日本の友人、口悪しき人妻は、私のヘルペスの原因をストレスだという。メールには「・・・ヘルペスは気をつけないと、また出ますよ!顔に出ると本当に痛いそうです。身体が弱っている時、弱みに付け込んでくるからご注意下さい。皇室の嫁たち(紀子以外)は皆やってる!・・・」という。私は答える。「・・・あー早く近郊の田園で週末を過ごしたい・・・」と。すると「私なんてネオンの無い田園、と聞いただけでヘルペスが出そう~!」と返事が来た。

我が部屋からは、全身をネオンで着飾った建物だらけが見える。夜中の十時半まで光の波がうごめいている。どうも私にはやりきれない。この単調な機械仕掛けにはうんざりなのだ。本当に田園に居を構えたい。真っ暗闇の、自分の目で暗闇の奥を探りたい。不思議なもので、暗闇を見つめていると、見えてくるから面白い。まさに無明の先が感じられるようだ。

この頃の天気、曇天と小雨で薄ら寒い。会社の庭先で散策もままならない。うっと惜しいヘルペスと天候を何とかしたい。で、食後の庭先散策を決行した。散策を楽しむ人間は結構いる。圧倒的に女性が多い。2人組だったり三人だったり、決して一人では歩いていない。会話を楽しんでいるのだ。男性はというと、一人歩きが多い。何かを考えているかのようだ。アリスの世界に迷い込まないにはどうしたらいいのか、なぞ思い詰めているやもしれない。

春先である。曇天小雨とはいえ、花々が咲き乱れている。小鳥は求愛を始めたらしい。遠いところ同士で鳴き叫んでいる。人の手が加えられた、人工の庭とはいえ、この光景とささやきには堪えられないものがある。

[ 写真: この庭の外はぶっとい道路を大型トレーラーが行き来し、反対側は企業集団の石化工場である。本社ビルからも庭先からも、この様子は見えない。周りを三十メートルにも達する樹木がびっしり植えられているからだ。 ]

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