Tuesday, September 26, 2006

[廈門・111日] Light-up

ここにきてからというものの、政治的な出来事にまだ遭遇していない。我が秘書が冗談に「日本鬼」とか南京大虐殺がどうとか口にするものの、他の人間が私に対して敵視する眼差しにも出あっていない。至極平和なのだ。揚子江の南は穀物に恵まれ、気候に恵まれ、だから戦って何かを獲得する必要としなかったのだろう。

十月一日の国慶節に始まる一週間の休日は、それゆえ政治と無縁の市民には、里帰りをして家族とひとときを過ごす格好の機会なのだ。それでも国の行事は行事、市内至る所建物にライティングが施され、ここ十年の驚異的な経済発展を見せつける。商業施設に限らず、マンションもオフィスビルも市政府の建物もみな色とりどり。夕刻とともにこれらの建物、真夜中の十二時まで輝き続ける。消費される電力もバカにならないだろうにと、ひたすら節電に励む日本の国情と照らし合わせてみたりしたくなる。

彼岸を過ぎ、夜は実に過ごしやすい。バルコニーに椅子を出し、そんな夜景を眺めながら、グラス片手に、もらい物のブランデーを味わう。旨い。タダ酒だからなおさら旨い。ケチな日本人として通っている者の口に苦く、腹に熱く、心に安静が染みこむ。

[ 写真: バルコニーからの眺め。屋上のデザインをなおざりにしないところがいい。以前幕張の仕事で建物のトップに工夫を凝らそうと提案したところ、施工会社は金がかかるといって受け付けなかった。 ]

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