私 が台湾で取り組んだ始めての大きな仕事が軌道に乗り始めたころのことです。仕事が一段落したので、スタッフをお酒に誘いました。なかには二人の女性もいっ しょです。出かけた先は私の馴染みの店。定宿のホテルの真向かい、このホテルで働いていた人が開いたお店です。我々、お酒とカラオケで盛り上がってきま す。すると同行した一人の女性が私に一生懸命話かけてきました・・・
盛り上がっていても会話は身振り手振り、以心伝心というところでしょうか。しかし仲間の女性にまじめに迫られては対応しようがありません。何しろ目がまともです。一生懸命理解しようにもなすすべがありません。中国語を覚えなければと思ったきっかけの一つです。彼女、コースターに何かを書いています。そこには「訂婚」と書かれていました。いろいろ思い浮かべますが理解からは遠くにあります。うーんうーんと唸って いる私の脇で、彼女は涙を浮かべ、下を向いて黙ってしまいました。私は仕方なくお店のママを呼びました。ママが彼女の脇でやさしく話を聞き始めます。
まもなく彼女は仲間の女性と二人で家に戻りました。私は店に残りママから話を聞きます。その内容は・・・ 彼女は父親が定めた結婚相手、つまり「許婚」い いなずけがいて、それに耐えられず国から出てきた、というのです。まだ二十歳を出たばかり、自分の思いも伝えられず、そのことを誰かにわかってほしかっ た、というのです。日本でも一昔前までは普通だった「訂婚」という制度、それを台湾で知らされるとは思っても見ないことでした。
[写真は当時の彼女 今は立派なおばさんかも・・・]
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