韓流会食会のことです。韓国映画やドラマの話で盛り上がりました。その中で一つの映画が注目され、あれやこれや語りました。「甘い人生」という韓流人気俳優イ・ビョンホンの演じたフィルム・ノアールでした。会食会の後のメールでやり取りした師弟対話を整理してご紹介します・・・ここでは私は教えられるほう、いわゆる<弟子>にあたります。方や年期の入った韓流の<師匠>。
<弟子>
会食会で言葉の足りなかった部分の追記です。
一番気に入っているシーンはラストにシャドーボクシングしている場面。(本編と)何の脈絡ないんですけど。その後に続くギターアンサンブルの曲が好きなのです。
<師匠>
韓流ドラマの感想ありがとうございます。視点がちがってて面白いですね。細部をよくご覧になっておられる。「甘い人生」のラストにシャドーボクシングなんてありましたっけ?ギター曲なんて流れてましたっけ???
<弟子>
「甘い人生」のラスト5分間(のCD)をお送りします。イ・ビョンホン自ら陶酔のイメージフィルムです(と私には見えた)。きっと本編で使う予定だったんじゃないかなー。なぜ一番最後にこの場面を加えたのか監督に聞きたいところですが・・・
師匠、ここのビョンホンの顔、いいですよー。
<師匠>
弟子も想像力のふくらむ方ですねえ。
<師匠>
CD届きました!
このエンディング、夢の話は覚えてましたが、シャドウボクシングのシーンはまったく忘れてました。かっちょいいです、イ・ビョンホン。むふふふふ。バックに流れるギター・・・
<弟子>
このシーン見ると圧倒的にイ・ビョンホンはかっくいいですね。したたる血しぶきのあとの残像をみんな洗い流してくれる清々しさありますね・・・
<師匠>
http://www.bitter-sweet.co.kr/
「甘い人生」の韓国版オフィシャルサイトです。
韓国語なのでイ・ビョンホンのナレーションもさっぱりわかりませぬが、けっこうおしゃれです。ゲームもあります。
<弟子>
最初から「甘い人生」見直しました。本編最初に地下室で一仕事終えて、何もなかったかのようにバーに戻ってくる。場面はここで終わっているのですが、最後の5分はここから始まっています。でも、(本編に)繋げてみるととてもハードボイルドには見えない。で、割愛したのではないかなー。でも、ビョンビョンはこのシーンとても気に入っていて最後にイメージフィルムとしてのせたのかなー。もし、(会長の)愛人との会食の後だったらわからないことはない。なぜなら、彼の生活に入ってきた別の世界だからー。
添付ファイルのハングルってなんて書いてあるのですか?「甘い人生」?おしえてください。
<師匠>
弟子の「最後の5分間」へのこだわりおもしろいですねえ。
ビョンビョンも「これは私の代表作になる」と語ったそうですから、編集にもかかわってることはありえますね。
わたしもハングル講座一週間で挫折した輩ですから、ジュンサン兄(今日は地方出張で不在なもんで)の書棚から勝手に朝和辞典ひっぱりだして調べたところですね、まさに「甘い人生」でした。
最初の三文字タルコマン(と読むらしい)で「甘い」、最後の二文字インセンが「人生」でござんす。インは人間(インガン)のイン、生(セン)は先生(ソンセン)のセンで、日本語とまったくいっしょですね。
あやしいハングル講座でした。
<弟子>
いやとても参考になりました。わたくしめなど、韓国語の辞書が引けないのですから。
で、続けて「甘い人生」パクり編。
(会長の)愛人が恋人を連れ込んだのをとがめた後の車。暴走族に絡まれる。はじめは無視していたのが、突如猛スピードで彼らを追いかけ打ちのめす。これ「冬の華」(倉本聡脚本のフィルム・ノアール)の夜の公園で三浦洋一と(池上希実子が)キスするシーンを物陰から眺める高倉健。その後の飲み屋街。チンピラとすれ違いで肩が当たる。絡むチンピラをめった打ちする。この心理的なアヤはパクりだなー。(などなど・・・)
<弟子>
最初と最後のモノローグをblogに紹介してしまいました。
http://our-studio.blogspot.com/2006/03/blog-post_25.html
<師匠>
それにしても「甘い人生」のめりこんでしまいましたね。
私も寝た子を起こされてか、つい戻ってきたDVDをつまみぐいしてしまいました。先日も申し上げたようにちょっと期待はずれだった感もあって、いちど見たきりだったのですが、弟子にいろいろ細部について語られると興味わいてきちゃいましたよ。オフィシャルサイトのmakingなんか見ちゃったりして。
blogにのせたモノローグ、とくにラストのやつはとてもいいです。エンディングに入ってるからよけい哀しくなっちゃいますね。あの対話、ほんとにどこかの古典かなにかに出てるのかな?
<追記:師匠の師匠からのコメント>
最初のモノローグは無門関あたりの禅の公安の引用です。枝だったか旗だったかおぼえていませんが。最後のもたぶん出所は大差ないとおもいます。
無門関、急遽調べましたです。ありましたがちょっとちがってます。脚色したのでしょうか。
http://www.shomonji.or.jp/soroku/mumonkan/
第二十九 非風非幡 ‐六祖の風幡‐
六祖、因みに風刹幡をあおぐ。二僧有り、對論す。一は云く、「幡動く。」一は云く、「風動く」と。往復して曾て未だ理に契わず。祖云く、「是れ風の動くにあらず、是れ幡の動くにあらず、仁者の心動くのみ」と。二僧慄然たり。
夢の話は見あたらないし、公案らしくないので別に創作したのか、あるいはほかの禅籍にあるのか不明です。
<弟子>
なぜか「甘い人生」のサウンドトラック盤CDが手元にあります。
で、そのなかからこの二つ(「dialogue#1」、「悲しい僕の夜」)を・・・
<師匠>
続けて聴くと実にいいです。何度も聴いちゃいました。韓国語ですら妙に美しくきこえるビョンホニーの”dialogue#1”・・・。ムヒッ。
「冬の華」彷彿のギターのメロディが耳に残ります。曲の合間にカツカツとギターの盤面を叩く音が、映画冒頭の厨房を抜けながら地下に向かう時の足音にきこえ、このシーンの音楽は全然別の物なのに、イメージがダブってしょうがない。
最後のシーンは「甘い人生」ブログでも話題になってます。”dialogue#1”の英訳を写真集から引用掲載してる人もいました。
One late autumn night, the disciple woke up crying.
So the master asked the disciple......
"Did you have a bad dream?"
"No"
"Did you have a sad dream?"
"No" said the disciple.
"I had a sweet dream."
Then why are you crying so sadly?
The disciple answered quietetly, while wiping his tears.....
"Because my dream cannot come true."
(英訳だからどうしたってなもんですけど・・・)
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これだけ語ることができました。たかが「映画」、されど「映画」でした。
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