Wednesday, August 26, 2009

[台北] 裏街 - 晩夏


アタシは東京生まれの東京育ちだが下町風情は知らない。記憶に無いが田園調布のロータリーの一番外れに一時期いたらしい。その後は芝三田、といっても三井の山の麓にあった病院の一角で育ったから四国町など裏町っぽいところは知らない。それからは杉並で、多摩丘陵で、千葉の片田舎暮らし、どこも長閑な環境にいた。

台北に来て、こちらの大兄が用意してくれた住まいはまさに下町そのもの。小さなお店がどこまでも続く道幅の狭い錦州街という商店街の雑踏を一本入った裏通りに住んでいる。この界隈、裏通りはみな四階建て、時折見かける五階建ては違法建築のはずである。さらに屋上屋を重ねるトタン屋根の屋上屋も多い。

住み始めの頃は、えーこんなとこ、と落胆していたが、食い物屋の種類も多いし味も悪くないし夕刻過ぎにはまちの方々がジョギングにいそしむ緑の多い公園もある。部屋が最上階の四階で、風のない真夏の蒸し暑い日にこの階段を上るのは至極難儀だが、ジッちゃんバッちゃんが台湾語でアタシに話しかけてくるなど、アーこれが下町風情なのかと素直に受け入れてる。

蒸し暑さを少しでも避けようと、バルコニーに出て一服しようと外を見ると下弦の月が見えた。確か以前にこの光景を紹介したのは冬だったと思う。あれからすでに半年以上過ぎている。

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