Tuesday, June 3, 2008

[廈門] 農村に住もう……

農村に住もう、農村には何があるだろう。千葉の片田舎と同じだろうか。堆肥を作り、寝かし、翌年に野菜を植え、農薬を抑え、おかげで虫退治に追われ、鍬で土を鋤き、なれぬ腰つきの外国人を見て村のばっちゃんが教えに来てくれるに違いない。しかしばっちゃん、標準語は話せないかもしれない。おかげでアタシはミン南語を覚えるかもしれない。まだまだやってみたいことはたくさんある。

ここ福建省は農作物に恵まれているようだ。北側一帯を山に囲まれ、温暖で、いや亜熱帯なのでいささか蒸し暑いが、適当な雨量が恵みをもたらしている。夕方になると、路上には数多くの農民がその日収穫した野菜や、近くの海、養殖場から上がった新鮮な魚介類を売りに出す。洒落たスーパーの、洒落た包装の野菜よりはるかに味がある。

ある出来事。スーパーでパックに入った卵を買った。冷蔵庫に入れ、朝にサンドィッチ用に目玉焼きにし、インラメの具に、と使っていた。ある日の朝、フライパンの上で殻を割ったものの黄味も白味も落ちてこない。不審に思い殻の中をのぞいてみると、雛になりかけのニワトリさんがへばりついていた。おー、ここの卵は有精卵だった!ベトナム人が好む半熟鶉をおやつに食すという習慣はアタシにはない。あわててごみ箱に運んでしまった。パックに記載されている出荷日を見てみると、なんと三週間前ではないか、自己責任とはいえ簡単に信用してはいけないと教えられた。

同じことは野菜にもいえる。実に新鮮そうで、口にしてみると香りがあり味があり美味い。ではと保冷庫に投げ込んで置くも、三日は持たない。ここの野菜は、日本のように集積地の保冷庫で窒素ガスだったかで余命を与えられているわけではない、容易に萎れてしまう。いろいろなところで、昔の、子供時代に母親から躾けられたことを思い出した。そう、冷蔵庫なぞがなかった時代を。

こちらの友人、ガッコの先生は顔が広い。アタシのわがままな要求によく答えてくれる。今回だってそうだ。昔のままの民家が寄り集まっている集落の一軒家に住みたいという希望を、ではあの人、それならこの人と声をかけてくれている。次回、アタシはアモイから北に車で約一時間(かどうかは行ってみなければわからないが……)、山際の農村を訪れることにした。グーグル・マップで地形を確認し、近くに小さなダム(水庫)のあるのも確認した。釣りができるというのは本当らしい。

賃料は200元から5、600元と人によって値が違うのが楽しい。庭つき一件農家が月日本円で約三百円から千円なのだ。地元でお手伝いさんを雇い暮らしても、月千元から二千元、一万五千円から三万円で暮らすことができる。まさに桃源郷のようだ。心配性のガッコの先生、危ないぞ危険だ泥棒に入られる、とうるさい。そうなればそうなったでと構えるつもりだ。しかし外部から人の出入りのない農村、恐らくそんな事態にはならないだろう。ガッコの先生、農民の心理をご理解できない都会人なのだ。

アタシにはそこで別の狙いも持っている。農家をエコハウスに改造してしまおうという狙いだ。生ゴミも汚物も土地から外に出さない、使い切る。エネルギーは太陽光や太陽熱を使おう……。

[ MEMO: この小屋は今年の二月、旧正月に姐姐の実家に同行したとき撮影したもの。写真で見る限り実に風情がある。問題は川面に浮かぶごみの数々、川べりのごみの山、あーそれさえなければ何と美しい村だというのに。 ]

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