Saturday, February 12, 2011

[台北] 「錬将」と高慧君 - II

 「練將 Teen Patron」は韓忠翰/鄒猷新/王振宇三人の映像作家によって2006年から2007年の元宵節までの約一年半カメラに収めた映像。時報文教基金會の公募「映像-公與義」に応募し入賞している。

この番組「映像-公與義」の主持人・司会者は高慧君、鄒族原住民出の歌手で俳優そして最近は記録映画の演出を手がけようとしている。番組の後半、主持人・ 司会者の高慧君とヤクザな世界に入り込んで撮り続けた映像作家との対談をとおして視聴者の疑問を解き明かしていく。高慧君が作家に問いかけ作家の本音、深 層心理を探り出そうとする対話は興味深かった。しかしその内容と答えをメモしたものの、正確にトレースできているとはいえない。私の中国語理解力の限界で ある。

メモから概略を書き記すと...
高:高慧君
作:映像作家

高:台東という地を選んだ理由は?
作:交通の便も悪く大都市から遠い僻地の都市ともいえる。伝統的な現代都市とは違う何かがある気がした。

高:主題が錬将なのは?
作:友人の老師が顔を神将のメークアップした少年たちが海岸べりで遊びまわっている、といわれたので来てみると錬将だとわかった。面白そうなので追いかけてみることにした。

高:ごろつきな若者の中に入っていけたのはなぜ?彼らの信任をどうやって得たの?廟の中に入り込めたのはなぜ?
作:始めは錬将する少年たちの様を撮っていた。撮っているうちに主催する廟と関係ができてきた。
作:あるとき少年が本音を吐いた。そのとき初めて彼らの信任を得られたと思った。彼らを追う方としてはやった!という気持ちになった。
作:廟の裏にまで入れるようになることに問題はなかった。少年たちを追っているうちに入っていけた。

高:錬将の文化的衝撃はなに?
作:少年たちは家庭では厄介者、学校では問題児。家では邪魔者、学校では先生から登校する必要ないと切り捨てられていた。廟と廟を形成する人間関係には(ヤクザ社会の決まりごとのような)独特な規律があり、厳しいながら錬将を続ける限り、彼らの決まりごとを守る限り少年たちは受け入れられた。そこには家庭にも学校にもない温もりがあったのだろう。

高:この映像の深層的な意義は?
作:義憤・正義・公理。

高:錬将に取り組む少年を追いたかったの?それとも少年たちの自堕落な日常を撮りたかったの?
作:撮影は一年半にわたった。結局錬将に取り組む人間たちが独特な日常生活を送っていたということ。

この映像を理解するには最後の質問とその答えが核心をついていると思う。錬将に取り組むのは普通の少年にはできない。できるのは、溢れるようなエネルギーを持っていながらそれをどこに向けていけばいいのか解らないような連中なのだろう。また、そのような人間を受け入れる社会的基盤が我々の中にあるからだろう。

三十年近く、機会があるごとに、仕事に調査研究に気まぐれな旅に関わってきたが、私にとっていまだ知らない台湾が興味深い台湾があった。

[追記] fumanchuさんから「錬将」について問い合わせがありました。私の感じたところを書き足すことにしました。

錬将をどう説明したらいいのかわからなかったのでそのままこの単語を使いました。ただしタンキーのような神がかりとは違います。
「錬将」は廟がお払い、祈願のために武将・神将の一団が町々を巡って儀式を執り行う、その武将・神将を演じるための訓練を指しているようです。
一団が町に入る際には爆竹と花火が迎える。一団が舞いながら練り歩く際にはみな道にひれ伏す。そのうえを廟の神を載せた神輿がかぶさるように通り過ぎる。彼らが去る際にもまた爆竹と花火が。
武将・神将は顔に鬼のような化粧を施す。色はいろいろ。衣装は武将が着るものなのでしょうかそれとも神が着るものなのでしょうか華やかです。
「錬」は訓練・鍛錬の「練」です。

4 comments:

fumanchu said...

練將というのはタンキーみたいなものでしょうか。

burikineko said...

錬将をどう説明したらいいのかわからなかったのでそのままこの単語を使いました。ただしタンキーのような神がかりとは違います。

「錬将」は廟がお払い、祈願のために武将・神将の一団が町々を巡って儀式を執り行う、その武将・神将を演じるための訓練を指しているようです。

一団が町に入る際には爆竹と花火が迎える。一団が舞いながら練り歩く際にはみな道にひれ伏す。そのうえを廟の神を載せた神輿がかぶさるように通り過ぎる。彼らが去る際にもまた爆竹と花火が。

武将・神将は顔に鬼のような化粧を施す。色はいろいろ。衣装は武将が着るものなのでしょうかそれとも神が着るものなのでしょうか華やかです。

「錬」は訓練・鍛錬の「練」です。

fumanchu said...

いつもは身の丈一尺ぐらいで棚の上に並んでいる随陣様が、お祭りのときには人間サイズになって神輿のお供をする、ということですね。

burikineko said...

おそらく...すみません、こちらでネット行き来するんですけど...詳細不明です。どなたかわかる方がおいででしたら...