Sunday, February 21, 2010

[台北] 管理人・楊さんからの贈り物

私が住んでいるマンションの管理人は楊さんといいます。一階の、小さな小さな管理室が彼の仕事場です。新聞社の印刷部門を退職後、しばらくしてここを仕事場に選んだそうです。楊さんの仕事場からは、マンションの出入り口が見渡せ、そして脇にエレベーターがあり、住民の動向や出入りする人間を見続けてきたことになります。

十年もそこに陣取っていればちょっとした小説が書けるぐらいになっているわけです。話好きな我が隣人が楊さんの取材を重ねては私に話してくれます。ここで語るにはちょっとその方々の深い深いプライバシーに立ち入ることになりますんで、一つだけ。

ある階のある部屋のあるオバサンはご老人相手に媚薬を授けているとか。ある階のある部屋のあるオバサンは久しくご無沙汰だったんで楊さんに頼み込んだそーで、でも丁重にお断りしたとか。ある階のある部屋のあるおねーさん、彼氏が大陸に出かけたまま戻らない、で彼氏の衣服など一切合財をゴミ置き場にほおり投げて引っ越していったとか。一つだけではなかったですね。

そう、ゴミ置き場の管理と始末も楊さんの仕事の一つなんです。ゴミを分別する、分別してゴミ収集車まで持っていく。ゴミの分別をしていると、信じられないようなゴミがでてくる。これがゴミかという類ですね。先ほどの彼氏の衣服もそうです。彼女にとって、大陸で新しい情人をつくっていること疑いなしと、頭の中も心の中も彼氏はゴミ屑でしかなくなっていたんでしょうね。

他にもまだまだ使える小物、陶器磁器、家具。そのなかから、私が灰皿代わりにいただいたのが魚を模した小皿。釉薬が一部かかっていないハネモノですが、形といい、色合いといい、申し分ありません。楊さんからの最高の贈り物でした。人間もそうですが、モノってそれを手にする人により活き死にするもんですね。

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