Tuesday, June 27, 2006

[厦門通信] 部屋探し-II

[廈門・20日目] 廈門本島からフェリーで僅か10分たらず、鼓浪嶋という小島で部屋を探したときのことをお話しします。

今回の仕事では、私以外にも何人かが参加することになっています。施工がらみでCMを、管理運営でマネージャを。そのうちの一人、台湾人で現在は上海に住み、寧波で仕事をしているCMを担当する予定の総経理がこちらにやってきました。彼も住み家を捜さなければなりません。一緒します。一日目はごく普通に不動産屋が紹介する部屋を見学、翌日私が鼓浪嶋という島に住みたい旨を伝えると、それではといって渡ってみます。

まずは不動産屋を探します。あいにくその日は日曜日で店は開いていてもただの留守番が一人座っているだけでした。外に出ると若い男が近寄ってきて何か言っています。私にはわかりません。同行した彼がうるさそうに振り切ろうとしますが、それでも早口で話を続けています。ふと気がついたのか、友人がどこかに貸家はないかと切り出しました。島の男は事情通です。どんな家がいいのか聞いてきます。私、間をおかずに注文を出します。「古くてもいい、いや古ければ古い方がいい」。したり顔をしながらすぐに案内を始めました。

フェリーの桟橋から歩き始め、坂を上り、坂を下り、曲がりくねった路地を抜けて一軒の家の前にたどり着きました。朽ちかけているとはいえ、しっかりした土塀と観音開きの立派な門を持った一軒家です。門の脇のいまでは扉の無くなっている通用口をずんずんと入り込んでいきます。庭先で子供たちが遊んでいました。我々が入っていっても気にもとめません。

建物はおそらくコンクリートの壁構造と耐力壁以外に煉瓦を積んでいると思われます。表面のモルタルは味のある色合いを醸し出しています。1階には二世帯が住んでいるようで、簡単な鉄筋の柵で仕切られていて、同じしつらえの門がついていました。手前の階段を上がっていくと、そこが目的地です。玄関前は広々としたテラス、そこから海が望めます。隣の租界時代の住居ものぞくことができます。住人は不在だったようで、残念ながら室内へは入ることができませんでした。決して裕福とは思えないこの住人たちですが、とても素朴な味わいが感じられました。

一つ問題があるとするとトイレ、家から出て、階段を下り、中庭の共同便所を使わなければならないこと。しかし市内では決して得られない環境です。棄てがたいものがありました。諸般の事情で今のところ実現は不可能なのですが、週末を過ごすぐらいなら可能かとも思っています。籐製の家具を用意し、テラスでビールと煙草を味わう、(おっと、まだ煙草はやめられないでいるのです。)いいですね。

先のことなどわかりません。とりあえず海と緑とフェリーと租界という魅力的なキーワードを記録しておきました。

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