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「風中緋櫻」を演じた若者たち 左から |
先々週に襲った台風は、台湾の東海岸、太平洋から盛り上がった急峻な崖地を走る道路を寸断、多くの犠牲者を出しました。大陸からやってきた旅行団のバスがそのまま海底深く沈み、海中に生息する鮫の餌食となり、片手片足を失ったご夫人の死体が近くに打ち上げられたとか、かなりの事態でありました。
その台風を追うように写真家の北田氏がやってきて、建物の写真を撮る、とはり切っておりました。しかしそこは被災地、結局災害写真を収めたのみで、当の建物は豪雨の中の写真となったようです。その彼が台風一過とともに台北にやってきまして、ほぼ一年ちょっとぶりの再開です。
お互い貧しい懐ということもあり、近くの安いもそれなりの料理屋で飯を食い、コーヒーショップで近況を報告しあい、先立った知人の消息を聞くことになりました。
飲み屋に出かけることなく、私の、何もないサッパリとした部屋に戻り、ウィスキーをちびりちびりさせ、私が今最も関心を寄せているテレビ連続ドラマ「風中緋櫻 - 霧社事件」を二人で見たのであります。
霧社事件については、その昔日本統治時代、高砂族の反乱があったらしいね、ぐらいにしか知りませんでした。このドラマを見てからというもの、この高砂族、サイダク族というんですが、ここで選ばれた部族の若者が皇民化教育を受け、日本人以上に日本人らしく生きる様が映し出される。反乱のさなか、かれらは部族と日本占領政府との板ばさみのなかで自害する、それも割腹自殺をする、介錯なしで腹を切る、という凄まじい生き様の話なんですね。そしてこれはそこで生き残った若者の奥さん、高彩雲さんをヒアリングして書かれたノンフィクション小説からの、ほぼ忠実な再現だというものです。

二人の若者、花岡一郎と花岡二郎という名前です。反乱のさなか自害を決意して遺書を書く。その遺書をネットで見ました。達筆です。字が生き生きとし、自由闊達なのです。これを蕃人と呼ばれた連中が書いたのですね。日本の教育が優れてといえばそれまでですが、それに答えることができた彼ら蛮人の能力を知らさることになります。

ドラマや文献などを読むと、このサイダク族、勇猛果敢でかなりの武闘派集団だったらしい。酋長の優れた戦術と組織力で日本に戦いを挑んだ。負けを覚悟に挑 む。そして日本軍は討伐にてこずり、重火器、爆撃、確かではありませんが糜爛ガス弾をもちい、やっと壊滅する。しかしサイダクが他の部族と比して特殊な能 力を持った部族なのかどうか、私にはわかりません。
ここ台湾、九十年代終わりに原住民族基本法が制定され、徐々に彼らの権利が認められ、また彼らも自らのアイデンティテイーを探り始めているということです。このドラマのサイダク族はつい最近一つの族として認められます。それまではタイヤル族の一部族とみなされていたのです。
このときの戦いは「海角七号」という映画を撮った若い監督によりつい最近クランクアウトされ、来年公開と聞いています。サイダクと同じ種族タイヤル出のビビアン・スーがでていると聞いています。
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