Thursday, September 6, 2007

[廈門・455天] これがバブルでなくてなんなのだ

二週間前の金曜日、密かに会社を抜け出し廈門空港に向かった。蘇州を訪れるためだ。昼飯を終えると、運転手が待っていた。日曜日に戻るよ、というと、では出迎えます、イヤいいよ家族サービスしなさい、イエイエ構いませんです、ハイ。特権乱用である。

上海の虹橋空港では、蘇州のオバサンが待っていた。本来なら、運ちゃんだけだったはずだ。彼女、この機会を利用して、久しぶりに上海の友人宅で美味な食事を取ることにしていた。市内ど真ん中の高級マンションでテーブルを囲んだのは、五十近いというのに肢体完備、美しき肌つやの主と若きご亭主、仕事に追われながら駆けつけ一杯、白いご飯をほおばっていった四十過ぎで、香港で色違いのベントレーを四台購入、アルマーニの服を棚の端から端まで持って行ったという方。そして我々二人の計五人。

ここの主の素性は聞かなかったが、部屋のあちこちに、有名人と一緒に写った写真が所狭しと目についた。コン・リー、チャン・ツーイー、トニー・レオン、ジャッキー・チェンなどなど・・・。蘇州のオバサンが語ってくれた。部屋の主を除いて、集まった人間はみな四十から四十五歳、八十年代の解放政策と共に時代を歩いてきた人たちだという。そして「時代」が我々に特別な機会を与えてくれた。その結果、多くの富裕層がこの世代に生まれたというのだ。

このお宅に出向く前、時間に余裕があったので、新天地の再開発地区に入ってきた。古い、上海形式の住居を利用したショッピングモールである。四年前にも来たことがあったが、今では質のいいお店と洒落たデザインとで、上海の観光名所になっていた。開発当初、テナントは僅か二軒、今では店を手に入れることも難しいという。小綺麗な洒落たホテルも完成し、予約は一年以上先まで埋まっているらしい。

上海中心地にあって、新天地を取り巻くマンションにしろ、店にしろ、何年前はいくらだったものが、今では十倍以上する物件だらけだと、蘇州のオバサンが語ってくれた。投機的な面も大きいが、だからといって、土地の下落もなく(土地は借地権という中国の事情がある)、人口の流入は止まることなく、外地(上海以外の場所)の金持ちはビジネスチャンスが転がっている上海を目指してやってくるし、高級物件を言い値で購入しているし、あと十年はこの状態が続くこと間違いないと話してくれた。

絶対旨いといわれた割には、甘口の料理が多く、わたしには一寸という感想を述べて蘇州に向かった。蘇州まで一時間あまり、車中でも、彼女はいっときといえども携帯をおくことがなかった。ビジネスチャンスを逃すことはないのだ。その横顔を見ながら、四年前に初めてあった彼女、てきぱきと段取りを組み、いうことはいう、非常に魅力的だった事を思い浮かべていたが、四十をすぎ、一寸顔の肉が落ち、目がくぼみ、いささか期待から遠くなっていた。

[ 写真: 翌日第一目的の蘇州博物館を訪れた。外観の使われた花崗岩は気にくわない。表情が硬く、蘇州という場所に合っていない気がした。北京の香山飯店のように、厚い瓦を加工したもののほうが合っていると感じた。ところが、あとで知ったのだが、現在の香山飯店、白い外壁を、瓦の粉末が雨で流れ出し汚していた。これで花崗岩を使ったわけが解った。 ]

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