時には分不相応なひと時を過ごしてみたくなる。静けさ、緑、最高の服務を享受できる環境。厦門沖合いに浮かぶコロンス島うにはそれがある。一度は分不相応なひと時を過ごしてみたい。
一晩120元(日本円約1500円)のサービス・アパートメントに不満があるわけではない。広いし、厨房も洗濯機もついている。バルコニーからの眺めも建設中の超高層マンションに遮られつつあるとはいえ開放的で気分がいい。いい加減だった人の出入りも徐々に厳しく管理され、安全面でも抜かりがなくなりつつある。悪いことはない。しかしそれは合理的な生活には十分だということに過ぎない。何かがほしくなる。
コロンス島に足を運んだのは三年ぶりだろうか。日本から友が訪れた際に一緒して以来だ。ごった返すフェリーの乗客は大陸各地からの旅行者であり、団体客である。率いるガイドは勝手気ままに動き回る客に業を煮やして大声を上げている。フェリーが岸壁を離れると海風が、寒風が通り抜けていく。私に目をやった一人の若者は先に確保した席を私に譲ろうと立ち上がった。
島内に車の姿はない。電動カートが観光客を運ぶ。租界地跡に残された洋館を改装する際の工事用資材運搬には大八車が使われている。坂だらけの島内では重労働だろう。以前にもまして増えた観光客のあいだを縫いながら目的地に向かうも、いつまで経っても探し当てられない。何箇所かで道順を尋ねるもたどり着けない。案内が大雑把過ぎるのだ。結局一度波止場まで戻って一から歩き始めた。
たどり着いた西欧風建物のプチホテルの外壁は鉢植えのカラフルな花で飾られていた。その風景に相応しいように若い女性であふれていた。初めて覗いたときのような静寂と大人びたただづまいは消え去っていた。英語を流暢に話した美しい宿の主人は若い男性に代わっていた。落胆が襲った。変わる前に逗留すべきだったと...。
目的を失い、ただブラブラと島内を歩き回った。久しぶりに射す太陽のもと、異国情緒あふれる路地裏を巡る。いたるところでウェディング用撮影が行われていた。さらに路地角を曲がると、そこではモデルを立たせた不思議な撮影風景を見ることができた。
一晩120元(日本円約1500円)のサービス・アパートメントに不満があるわけではない。広いし、厨房も洗濯機もついている。バルコニーからの眺めも建設中の超高層マンションに遮られつつあるとはいえ開放的で気分がいい。いい加減だった人の出入りも徐々に厳しく管理され、安全面でも抜かりがなくなりつつある。悪いことはない。しかしそれは合理的な生活には十分だということに過ぎない。何かがほしくなる。
コロンス島に足を運んだのは三年ぶりだろうか。日本から友が訪れた際に一緒して以来だ。ごった返すフェリーの乗客は大陸各地からの旅行者であり、団体客である。率いるガイドは勝手気ままに動き回る客に業を煮やして大声を上げている。フェリーが岸壁を離れると海風が、寒風が通り抜けていく。私に目をやった一人の若者は先に確保した席を私に譲ろうと立ち上がった。
島内に車の姿はない。電動カートが観光客を運ぶ。租界地跡に残された洋館を改装する際の工事用資材運搬には大八車が使われている。坂だらけの島内では重労働だろう。以前にもまして増えた観光客のあいだを縫いながら目的地に向かうも、いつまで経っても探し当てられない。何箇所かで道順を尋ねるもたどり着けない。案内が大雑把過ぎるのだ。結局一度波止場まで戻って一から歩き始めた。
たどり着いた西欧風建物のプチホテルの外壁は鉢植えのカラフルな花で飾られていた。その風景に相応しいように若い女性であふれていた。初めて覗いたときのような静寂と大人びたただづまいは消え去っていた。英語を流暢に話した美しい宿の主人は若い男性に代わっていた。落胆が襲った。変わる前に逗留すべきだったと...。
目的を失い、ただブラブラと島内を歩き回った。久しぶりに射す太陽のもと、異国情緒あふれる路地裏を巡る。いたるところでウェディング用撮影が行われていた。さらに路地角を曲がると、そこではモデルを立たせた不思議な撮影風景を見ることができた。
2 comments:
今の地球で「金ならあるぞ。」が一番通用するのが中国でしょうね。
そうなんですね。ですからわたしのように貧乏な日本人は、こちらでは決して懐に寒風が通り過ぎているなど素振りに出してはいけません。そうしている限り尊重され尊厳が確保できます。尊厳も金次第なんですね。
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