東アジアの国々を覗きまわろうとはじめた東アジア世紀末研究会が二十年を迎えました。台湾の旅を手始めに、韓国・上海・香港・ベトナム・北朝鮮・日本の中の韓国などなど、いまさらながら当時の仲間たちの元気さが思いおこされます。
近頃、当時のメンバーとはじめたのは、東京がまだ江戸末期の匂いや風情を残している場所を探し回って、その雰囲気を味わいながら会食を持つこと。正確には江戸末期ではなく、高度成長を始める前の東京のこと・・・
前回は浅草界隈を、今回は水天宮界隈。水天宮境内が人工地盤の上に移された、参拝される方の数は少ないとはいえ、台湾のにぎやかな廟の雰囲気をわずかです が感じられました。日本も東アジアの一部なのだと。界隈一帯に超高層ビルもほとんど見当たらず、ということはビル前に狡すっからい広場も、見上げてもどこ までもひらったい壁がそびえる事もなく、表通りには戦前から食通が通った店々が、裏通りには江戸前の惣菜・食材、京都じこみの味などなど、古臭いながら適 度な多様性がうまく点在しています。
この多様性というのが実にいい。かつての東アジアの都市にはこれがあった。今では界隈と呼べる地域を特定することが難しい。どこも似たり寄ったり、はんぺ んか金太郎飴のような趣で溢れ返っています。銀座は銀座にしか、神田は神田で、内藤新宿は内藤新宿にしかない、匂いも風景も風情も異なっていたものが、今 は東京には、いや日本中になくなりそうな気がしています。
わずかながらでもそんな界隈を探し出し、味わうのも東アジアの旅かと思い、しばらく事を進めてみるつもりです。
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