Monday, April 4, 2011

[台北] "美麗島" - "±2℃" 挿入曲

"±2℃ - 正負2度C"
遠く台湾という異国にいていまだに伝わってくる日本の惨状に心を痛めています。特に放射能という、私たちには懐柔できない、封じ込められない相手に取り組まなければならない。何とかしなければならない、非常に困難が伴う。世界で初めて放射能被爆を受けた私たちは、今回自らの手で汚してしまったとさえ思えてしまいます。”国破れて山河有”だった敗戦、しかしこれでは美しい風土すら残せなくなってしまいそうです...

日本で起きた311災害は世界中で大きな話題になっていますが、ここ台湾でもそれは変りありません。多くの台湾の方々が私に電話を、メールを、ソーシャルネットワークを、スカイプを使って、そして直接私の肩に手をかけて励ましてくれました。

あるテレビ番組が地球温暖化をテーマにしたドキュメントを放映しました。"±2℃ - 正負2度C"。環境問題、地球温暖化に詳しい方ならこのサインはすぐお分かりになると思います。生物の生息環境を地球の表面温度で表したものですね。このフィルムは昨年はじめ放映されています。一昨年の台湾南部で起きた八八水災からの警告でしょう。私は知りませんでした。いささかアジテート気味に扱っているので恐怖を覚えます。しかし目を背けるわけにはいきませんよね。日本の災害を目のあたりにして再放送されたのでしょう。

八部構成された一番最後の章にゆったりとした、しかし地に足の着いた曲が挿入されています。わたしたちの揺り篭台湾 - 「美麗島」。1970年代末につくられた曲です。戒厳令のもと台湾人の自立、民主化運動と足並みをそろえて歌われたために一時期禁歌になっていたそうです。そんなことを抜きにしても心に残る曲です。聴いてみてください......

[胡徳夫の”美麗島”]:もともと英語でうたを歌っていた彼は、この曲の作詞家・李雙澤に「君はなぜ英語の歌しか歌わないんだ」といわれたそうです。そして自身のアイデンティティーを探り始め、若くして水難事故で死去した李雙澤の葬儀にこの曲を歌って送り出します。それ以降、この曲は彼の持ち歌となりますが、彼自身は政治運動に組し、民主化運動の弾圧中で歌うことを禁じられてしまいます。"±2℃ - 正負2度C"、八八水災がもたらした流木で埋まった台湾の東海岸のシーンから。

[Panai・巴奈の”美麗島”]:薄暗いステージ、淡々と歌う女性歌手・Panai・巴奈。彼女の暗い過去が声に滲み出ています。一見元気の出ない”美麗島”です。この曲が背負ってきた歴史を考えるとあながち間違っていないのかもしれません。ライブハウスに今でも顔を出しているのでしょうか。ぜひこの目で、この耳で聞いてみたい歌手です。


[布農族合唱団の”美麗島”]:こちらは元気いっぱいです。もともと布農族の音楽は世界的に有名ですし、族を上げて取り組んでいるからでしょうか、他の部族のレベルを大きく超えています。参加している連中は若い、まさに彼らの無形遺産・八部合音を現在に活かそうと努力している様がわかります。この合唱団のメインボーカルの女性は確か二代目だったと思います。一代目も素晴らしい声の持ち主でした。でも私は今の方の声のほうが好きですね。

「美麗島」  詞:李雙澤 曲:陳秀喜、梁景峰改寫 彈唱:胡德夫

我們搖籃的美麗島 是母親溫暖的懷抱
驕傲的祖先正視著 正視著我們的腳步
他們一再重覆地叮嚀 不要忘記 不要忘記
他們一再重覆地叮嚀 蓽路藍縷以啟山林

婆娑無邊的太平洋 懷報著自由的土地
溫暖的陽光照耀著 照耀著高山和田園
我們這裡有勇敢的人民 蓽路藍縷以啟山林
我們這裡有無窮的生命 水牛 稻米 香蕉 玉蘭花

「美麗島」にまつわる話は長く複雑で登場人物も多岐にわたっている。政治的な色が強いために扱うには難しい。ここで選んだ歌手がおのずと原住民の方々だけだったのも興味深いところなんですね。いつかは手がけてみたい話題だと考えています。

2 comments:

fumanchu said...

いい曲ですね。ただいま車中泊0℃です。

burikineko said...

いい曲ですね、ほんと
風邪を引かないように
一酸化炭素中毒にご注意くださいね