Monday, July 4, 2011

[台北] David Darling & The Wulu Bunun

[video: Bunun + David Darling 霧鹿布農族 布音合唱團]
私は”音楽”に関して門外漢である。好きなだけだ。ジャンルにこだわることもない。好きと感じればそれが私の”音楽”になる。ただ”なぜ好きになったのか”を探ることが好きだ。音の"由来"を探ってみたり、なぜなんだと”分析”してみたりする。これは私の仕事柄(主に建築デザインのプログラミング)からくる習性みたいなもので、この一連の行為が脳みそを活性化させるのに役立っていると思っている。

最近もっぱら台湾原住民に関わるあれこれを覗いている。興味深い。私の思考のお手本になっている。彼らのライフスタイルや文化は間違いなくトレンドになるはずだ。

台湾原住民族は歌と踊り、最も人類の根源的な衝動を表現することに長けている。なかでも布農族の「音」は人を引き付ける。これは私が感じるくらいだから、西洋音楽系の連中が見逃すはずはない。そうなると、いったい彼らの「音」はどのようにして組み立てられているのか分析したり再構成しようとする試みがなされて当然だろう。

David Darlingという米国人チェリストが布農族の「音」に魅せられた。環境音楽系の演奏家でコンポーザーというのか、私には映画のBGMで知的な音を映像に与える作業が印象に残っている。
彼が布農族の布音合唱團とコラボしたフィルムを目にした。台湾東海岸、米どころの池上郷から山あいに入った霧鹿部落、そこでDavid Darlingと布農族布音合唱團のフィールドレコーディングがおこなわれている。

どのような情景のもと、どのような人たちが、どのように参加してこの録音がおこなわれたか、映像を見ていただければいい。私は、計画されていたとはいえ、この即興演奏が好きだ。絵と音と重ねて見ながら聴いている。

このとき得た「音」の体験は彼らにとってかなり衝撃的だったらしく、別のビデオクリップで流れるテロップには・・・
「下山の支度を終え、録音の結果を、撮影はどうだったかを気にしながら帰路につく。その道すがら、「我々の音楽は、天上から降りてきた音なんです」という布農族の友人の言葉を思い出した。・・・途中我々一同言葉を交わすことはなかった。」
とある。
[video: 勤快的小孩 by 霧鹿布農 Bunun, Wulu and David Darling]
映像は夕刻の山道をただただ映し出すだけだ。そこにレコーディングした布農族の音とDavid Darlingの弦の音を重ねている。

このとき収録されたいくつかの曲は、デジタル処理され、ECMレーベルから「David Darling & The Wulu Bunun / Mudanin Kata」というアルバムになっている。非常に綺麗な仕上がりだ。ある意味あまりに綺麗すぎてなにかが欠けてしまっていないだろうか気になってしまった・・・。

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