Saturday, September 25, 2010

[台北] 土曜の昼下がりは公園通りの自由市場へ...

厦門から台北に移動して、食を菜食に変えるようになった。厦門の、塩気の多い、油が滴るような料理で身体が重くなっていた。それに身体のあちこちが不具合を示し始めてもいた。都合のいいことに、台湾では「心身を清める」宗教的な慣わしが民間に染み込んでいるので、菜食料理・素食が普及している。それが健康志向と若い連中のダイエットと結びついて街中いたるところ素食のブッフェ・自助快餐店がある。

私お気に入りの素食自助快餐店は中山北路を錦西街に入ってすぐの店。時間が許す限り夕食のほとんどをここで賄う。何がお気に入りかというと、ほかの素食店に比べ惣菜にちゃんとした味付けがしてあるからだ。有機・自然食と名をうっても、おいしく感じなければ続かない。それと専門店以外では見かけることの少ないメニューも備えている。麺類、餃子類、イタリア麺、特に大豆のチーズを使ったマカロニグラタンは味も一品。店内単品で最も値が張る。といっても100元(日本円約270円)なのでお手ごろ価格だ。週末は土曜の昼だけで店じまいしてしまう。

快晴で爽やかな風の今日、昼食をこの店でとった後、地下鉄路線の上を公園にしつらえた場所を散歩た。線上の公園脇は細い路地、ここが露店で埋まっている様をただ眺める。ウィークデーも開いているらしいが、夕刻食事を終えた後、私が訪れる頃にはすでに店をたたんでいるので雰囲気はわからない。

土曜の昼下がりともなると露店がいっぱい、客もいっぱい、掛け声いっぱい。実に華やかである。最近はビューティーサロン並みに修眉毛、ネールショップ、といっても化粧ボックスと丸椅子を抱えてやってきて公園の樹木の下で店開き、デッキチェアーを使った足裏マッサージなんてのも加わった。客の多くはオバサン連中。彼女たちは会話に余念がない。私が通りかかると「社長さん、社長さん」と声がかかる。

露店はカート・リヤカーだったり、バイクや自転車の荷台だったり、プラスティックボックスだったり、なかにはダンボールひとつ抱え裏返しにしてそこに飾っただけというのもある。売り物は季節ものの果物や野菜類が多い。日差しの強い夏場は商品に盛んに霧吹きで水をかけている。勝負はもちろん値段、隣どうして同じものを売っているわけだから、オバサンAが「○○元だよー」と掛け声がかかると、ドミノ倒しのようにその隣、さらに隣、向かい、そして戻って値をかけあう。ただしどの店も値段は同じ。ほとんど台湾語なので私にはいったいいくらなのか判別できていない。掛け声を耳にしているだけで心地よい。そんな様を適当にカメラに収める。

この露店街のほぼ真ん中当たりに廟がある。豪華絢爛だ。夜には煌々と照らされ、さらに華やかさと御利益の妙を強調している。台湾の人はよく廟を訪れ、線香を手に拝んでいる姿を目にするが、ここの廟、文昌宮では若い連中、とくに女性の姿が多い。実に多い。彼らが真剣な眼差しで願い事をしている様は美しい。姉妹らしい若い学生二人、門前で線香をかざし、公園側に向かって、西に向かって何かを口にしていた。暫くそこに留まり帰路に着いた。

日本ではどうだっただろうか。少なくとも東京ではそんな真摯な様は見かけなかった気がする。大阪に旅をし、信貴山を訪れたとき似たような風景を見たぐらいだろうか。

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