Wednesday, December 17, 2008

[台北] 作法


気がつかないうちにあたしは大陸の習慣に慣れ染まっていたようだ。礼儀作法を忘れていた。

こちらにきてハッと気がついたこと。台北の人はよく「ありがとう」「失礼」とか「ごめんなさい」とちょっとしたこと、例えばエレベーターの乗り降りの際にエスコートすると「謝謝」と口にする。買い物の支払いの際に店員が「ありがとうございました」と返答する。それが若者たちも妹妹(お嬢さん)たちもだ。彼の地、中国厦門ではなかなか聴けなかった言葉である。

横柄なんですね、彼の地のかたがたは。というよりかそれが文化でありまして、そんな教育受けていませんし、それより他人より一歩先に出し抜かないと生き残れないのでありまして、諭してみたところでちんぷんかんぷん、何いっているのかわからん、で終わってしまう。しかしこれはきっと教育というものなんだと思ったのが、バスに乗った際のこと、白髪頭のアタシを見るや、若者も中年の方もスッと立ち上がり席を譲る。他の都市はわからないが、少なくとも厦門はそうでありました。作法ですから教えを受ければできることです。

かつて彼の地で厦門にやってきた台湾人と雑談をしていた。台湾人、こちらの人たちは礼儀を知らん、礼儀を。失礼この上ないと憤慨していた。そういう時あたしがよく例に出すのは、「こちらで辞書買ったんですよ。“禮貌”(礼儀)って字を探したところ載ってないんですよ」。もちろん冗談であります。ですが本当にわれわれの常識からかけ離れている行動をとったりする。だから彼の地にやってくる芸人たちも、彼の地の何気ない印象を記者会見で話し、それがネットで叩かれたりする。おいおいおいまずは自分のまわり見てからにしてよ、と言いたくなってしまう。

うーん、今の台北の人たちは日本人より丁寧かもしれない。いまだここは日本ブームというより、日本スタイルが生活の一部になりつつあるのか、その分日本のいい部分が活かされているのかもしれない。

[ today's photos ] この長屋の入り口はすごい。道路に面した壁には、左から消火栓、門扉、呼び鈴、郵便箱。壁の上部にはケーブルネットの配線と分岐コネクターが乱雑に走っている。実ににぎやかだ。

2 comments:

fumanchu said...

これって大量消費文化とも関係がある様な気がします。

私が体験したのはソウルオリンピックから5年後のソウルで、
教保文庫という、まあソウルでも大きな本屋でした。
例によってつい本を買い過ぎ、積み上げると高さが30cm位に
なってしまいました。紙袋ではホテルにたどり着けそうもないので、
レジのお嬢さんに「ヒモでしばってくれんか。」といったら、
お嬢さんはものすごい剣幕で、「そんなことは私の仕事じゃない。」
みたいなことを滔々と述べ立てるのです。私がここで働いているのは
なんたらかんたらと、私の解らない韓国語の早口でまくしたてるのですが、
そのくせ手をきように動かして、荷物をしっかり縛ってくれながら、です。
どうせやってくれるなら、笑顔のほうが客だけでなく、店員のほうも
健康に良いのに、と思ったことでした。推察するに本を買うのは
身分の高い文化人、商売人は身分が低い、という儒教的社会規範を前提に、
それと闘う若き労働者、という感じでしたが、今はどうなっていることやら。

burikineko said...

今は違っているんでしょうね。

福建省の人間は商売が好き、政治関係なし、お金さえ落としてくれるならなんでもOKという感じ。だから客の注文には即座に対応する。しかし対応したからといってこちらの要望が適ったとは到底いいがたい。

店に客が一歩でも足を踏み入れたら、1元でもいいからお金を落とさせようとする。しっかり者が多かったですね。

しかし北はどうかは知りません。違うような気がする。