Saturday, December 13, 2008

[台北] 裏町


あたしの住まいは表通りから奥に入った裏町辻の長屋の四階にある。部屋の中での喫煙が禁じられているので、しばしばバルコニーに出てタバコの煙をくゆらせながら裏通りを観察する。

向かいの窓からオバサンの話し声が聞こえてくる。手入れの行き届いた黒毛の犬を散歩に連れ出すおじさんの姿が見える。新聞配達のバイク、牛乳を受け箱に手際よく入れ替えるおニーさん、出勤に向かう人たちの急ぎ足の姿が見える。夕刻、ゴミ収集車のチャイムが聞こえてくるとあちこちから当番さんが急ぎ足で指定袋に溜まったゴミを抱えて出てくる。

古い長屋なのだろう、本来禁じられているバルコニーの改造で左右上下各戸まったく違った表情を見せている。町並みは変化に富み、外壁の材料も色とりどり、照明もさまざまだ。狭い街路の両側は車とバイクで占められている。乗用車一台がようやっと通れる幅が残されているのみ。火事なぞおきて消防車がやってきて行き来できるのだろうかと心配してみたりする。長年の生活から工夫された表情がこの裏町をつくっている。

古くからの家族が住み続けてきたようで、年寄りの姿も多い。外からやってくる人間が多い厦門のようなことはないので、若い女性に囲まれて住むわけにはいかなかった。みな静かに暮らしているのだ。

友人たちからのメールには「おかえりなさいまし」とか「帰ってきたようで」など、あたしのふるさとのように記されていた。そうなのかもしれない。違和感なく落着いた生活を始めている。

[ today's photos ] 夕刻の裏町の姿。どこか東京の下町あたりで見かける風景に似ている。

1 comment:

Anonymous said...

happy birthday