Thursday, July 31, 2008

[廈門] 映画三昧

仕事の動きがない。暇を持て余している。久しく映画を見ていない。では何かを見てみるかと、見たい映画は何だっけ。おーそーだ昔日本にいたころ深夜映画で偶然見たスエーデンのパルメ首相暗殺事件の「暗殺の瞬間」がいいな、探してみようと検索をかけたところ、やけにヒットされる文献があった。「ADL”ユダヤ名誉毀損防止連盟”の陰謀」。パルメ暗殺の背後にADLという組織ありだという。一気に読み終えたが、この手の話、執念深い。再認識させられたのは、ことには表裏あり。

結局映画自体は探し出せなかった。仕方ない、では他の映画でも見るかと連日深夜映画鑑賞となってしまった。原題が中文に翻訳されていると検索が掛けられない。監督や俳優の名前から検索、名前が漢字に翻訳されていてはこれもできない。せいぜい日本映画ぐらい。

「パッチギ」なんてカタカナの映画はどうか、探せた。「百度」というサーチエンジンは日本漢字、台湾香港の繁体字をちゃんと検索してくれる。今回の検索で「真木よう子」なんて面白い女優に出会ったりした。日本の深夜テレビで話題独占、というのでどんな俳優だったっけと「週刊真木よう子」なんて見ると、なかなか企画がいい。ついつい見てしまった、いや当地ではネットで見ることができる。おまけに「百度」の図片 (tú pìan 写真・イメージ )検索で、変わった体型の持ち主、真木よう子さんの写真集なぞ拝ませていただいた。

おっと、これみな無料である。有料サイト、登録が必要なサイトは存在するが、主には大学の学術論文へのアクセスなど、無断借用・盗作防止が目的。娯楽をみんなで主義の当地、映画も写真も解放されている。オリンピック開催でネット解放というおふれがでたが、一方で、大会開催中の記事には配慮を、というお達しもでている。

007シリーズの検索は簡単だ。「007」、この部分は漢字に変換されていない。「ミッション・インポッシブル」が翻訳されると意味不明。「碟(石+葉)中謀/職業特工隊 」。

香港映画では「暗戦-I」が面白かった。ひとりの特務警察官と一人の義賊との話。義賊をアンディ・ラウ、劉徳華が演じている。広州に住むスカイプの友とこの映画の話で盛り上がった。彼女が映画は広東語?それとも標準語?アタシ、劉徳華が標準語を話していたと二人でケラケラ笑った。標準語の吹き替えをアタシは見ていたのだ。

台風一過、青空と気持ちのいい風が部屋に飛び込んでくる。

[ MEMO: アンディ・ラウの人気はこの地でも高い。浮いた話もなく、演技もしっかり、ただ悪役をやらせても、ごつい顔つきの割に目が優しい。アタシは好きである。一方で自身のパソコンからみだらな写真を流出させてしまったエディソン・チャン(「イニシャルはD」)の強烈な個性も好きだ。「無間道-II」で演じた特務員をあたしゃ高く評価している。 ]

Wednesday, July 23, 2008

[廈門] 食事のあとはカフェラテを

連日の真夏日である。昼間、外に出ると熱中症か激しい発汗で結石ができてしまうのではないかと恐怖感から出かける気がしない。皆から一日二リットルの水を飲め飲めといわれ、ではとガポガポ口にするも、水っぱらで過ごすわけにもいかず、夕食ぐらいは外に出て、肯徳基 ( kěn dé jī ケンタッキーフライドチキン ) の裏にあるお粥屋の常連となった。

ミン南食のお粥、トロッとし、出汁が適当に利き、夜、食するには腹にいい。トッピングも魚あり豚ありアヒルありピータンあり豆腐ありと様々。不思議なことにニワトリは扱ってない。魚は石斑魚 ( shí bān yú ) がいい。肉に比べると値が張るが、白身の適当に脂の乗った味がいい。朝昼はレトルト系が多く、不足する野菜を補うため青菜を注文する。その日その日で変わることがあるが、レタスのような菜っ葉がうまい。さっぱりとしそれでいて歯ごたえあり、噛むと青菜の汁がにじみ出てくる。味のある野菜だ。それに海帯 ( hǎi dài 昆布 ) を唐辛子と一緒に煮込んだ突き出し。〆て十元から十五元、おおよそ百五十円から二百五十円。この店、24時間営業。夜のお勤めのお嬢さん方が一人で、仲間と、客と一緒に利用するらしい。

食事を終えて買い出しに向かう。近くの地元系スーパー。ここでは品定めの目利きが必要だ。新鮮か昨日の売れ残りか読み取らなければならない。パッケージものもすぐには手を出さない。製造日を確認し、パッケージをちょっと強く圧してみて形崩れが起きないか中身が飛び出してこないか。それでも時としてはずれを引くことがある。手に入れるものは、乳製品、ヨーグルトにスライスチーズ。これは朝食用。トマトにキャベツはインラメの具に。週に二回ほど訪れている。一回の買い物に五十元から百元の間。750円から千五百円、決して安くはない。六月からはじまったマイバック制、アタシのカバンにはちゃんと買い物袋が収まっている。

このころには八時を回っている。一日人との会話がなかった。馴染みの珈琲店で店のお嬢さんたちと雑談に向かう。いや、電脳に向かってそれなりのことをしに出かける。客が少なく暇になると、お嬢さんが一人また一人やってきては話しかけてくれる。会話の練習もこなしている。

ところがである、昨日は店の空調機を修理していた。客はだれもいない。居るわけがない。店の中は蒸し風呂のようなのだ。夜とはいえ、ここアモイの夏、湿気が肌にへばりつく。息苦しくさえ感じる。あー、アタシの居場所がない。仕方ない、外のデッキテーブルで注文をとった。カフェラテのスモールカップが三十元、それと食パンを購入した。一斤十元。パンは店の自家製。ライ麦がうまい。トーストするとほかの店のものとの差が歴然と出る。味がありサックリ感が出てくる。

じっくりと居座り、blogをしたため、メールのやり取りを終え、日誌を書き終え、十時半過ぎだろうか帰路に就く。最後にマンション下のコンビニで缶ビールを購入して部屋に戻る。ビールひと缶三元、五十円、これは安いのだ。

消灯夜中の一時半、一日の終わりであります。ではまた明日。

[ MEMO: 馴染みの珈琲店、この日室内は蒸し風呂。工事の兄ちゃんが天井の空調機をいじくっている。この後、店の一番奥の喫煙室が空調され中に席を移した。]

Tuesday, July 22, 2008

[廈門] ”至福の端末”

blog「deep breath 写真とケータイと自転車と」には大人の味わいがある。

日本ではiPhone3G狂想曲(ちなみに狂想曲の意味合いはとてもいいのです)が演じられているようだ。世界22カ国で100万台、一瞬にして売り切れたと聞いている。ここ中国でもその様は変わらず、一国およそ平均5万台の割り当ては美型のお嬢さんの手元に渡ったのかもしれない。なにしろ夜総会に行くとお嬢さん方皆手にしている。アモイでそうだから、大都市の北京や上海、広州ではなおさらだろう。

しかし当地ではまだ3Gネットワークは整備されていない。一部の地域で試験的になされているに過ぎない。当地では自前の高速通信ネットを張る試みがなされているからだ。相手にする数が違う、15億人ですよ、それだけで欧州に匹敵してしまう。ライセンス料だ、技術なんとか料だでピンはねされるならばということらしい。

アタシが愛読しているモバイル系のブログでも変わりはない。あまりに毎日毎日iPhoneネタで、あるブログは、今日もまた相変わらずのお話で・・・と断りを入れるようになった。話題の製品である、皆さんがどのように感じているかは一応目にしている。

この狂想曲に乗るつもりだったものの、いくつかの理由で購入を取りやめたというblogに突き当たった。決してアップル嫌いでもマック嫌いでもない。モノを見る目が定まっているという感じの方である。彼が紹介しているモノには、選択に際しての信念がうかがえる。「deep breath 写真とケータイと自転車と」(http://deepbreath.cside.com/)がそれだ。ん?アタシの友人にもいたっけ。おっと、彼の場合は「写真とマックと自転車と」だった。

blogの主「深呼吸」さんは、最終的にiPhoneを三つの理由であきらめ(blogに記事あり)、かわりに彼曰く”至福の端末”(http://deepbreath.cside.com/2008/07/post-12.html)というNokia E71を手にする。アタシがいま最も欲しい端末である。うらやましい。アタシの場合は日中英マルチリンガルでなければならない。機会があり、香港に出向くことがあったら手にしたいものだ。

[ MEMO: 写真は「深呼吸」さんのblogから。写真の出来が素晴らしい。美しい。脇に添える小物も伊達ではない。若い方のようだが、文章も押さえて書かれており、アタシのように激することもない。 ]

Monday, July 21, 2008

[廈門] 息抜き

「暴强的十大民间高手」(巷の十人の達人)という記事を見かけた。http://www.dofor.cn/show_527417.html
いつの時代に撮られたのかはわからないが、のどかな風景だ。都会にいて、こんな写真を見ていると気が和む。

・都市のど真ん中、交差点をリヤカーに麻袋いっぱい詰め込んだなにかを運んでいる。廃品回収、ペットボトルだろうか。いくら軽いとはいえ、ちょっとハンドルさばきを間違えたり、横から風を受けてバランスを崩すと、すぐにぶっ倒れそうだ。それがないところが達人。お見事!

・田舎の幹線道路。二匹の豚さんを簀巻きにし、バイクの、それも前座席に抱えて運んでいる達人。お見事!

・これは命かかっていそうで凄い。周辺の状況がつかめないが、きっと両岸にワイヤーロプを渡し、普段は籠かなんかで往来しているのかもしれない。自転車はちょっと、と言われたおやっさん、ではと両足で自転車を抱え込み、ロープを手づかみにして渡ってしまった、らしい。昔、解放軍で鍛えた技だろうか。ゲリラ戦には有効だ。見事!

他にも、片田舎の農村の広場、村一台のコンピューターをこなしてみせる、くわえ煙草の爺さま。周りでは小さな子供たちが取り囲んで驚愕の声をあげている。都会の道路わき、車止めのチェーンをハンモック代わりに昼寝するオヤジ。

ちなみにタイトルにある「高手 ( gāo shǒu ) 」とは、達人・手練の意味。

[ MEMO: 先週末、台湾人の医師から電話が入った。医「どう?まだ痛む?」アタシ「血尿が出ておりますです」医「そう、大変だね。貴君が痛む姿を想像していると楽しくなってくるんだよね」。医者とはそんなものだ。医「で、鎮痛剤いる?」アタシ「エッ、手に入った?」。優しき友である。帰国した際、知り合いの医者から入手してきたそうだ。感謝感謝、これで非常時を乗り切れる。 ]

Sunday, July 20, 2008

[廈門] 目にとまったいくつかの消息

アタシの住む超高層マンション、住民が住み始めて間がない。それもごく一部。こちらでは内装は自分持ち、好き勝手に作りこめる。今がその始まり。おかげで朝八時から夕方六時まで毎日、あちらこちらで工事の音が鳴り響いている。

昨日、ぶっきらぼうの姐姐が宝貝( bǎo bèi 愛娘・愛息子 )をベビーカーに乗せてやってきた。部屋に入るなり、暑い暑い・汚い汚いといってすぐに立ち去ってしまった。そう、埃だらけなのだ。外から廊下から、上の階の工事で振動を立てては天井からも埃が落ちてくる。姐姐は毎日掃除せよといっていたが、現状を目にして口を閉じてしまった。それほど埃まみれなのだ、アタシの家は。

さらにひどいのは、共同廊下の壁にクラックが入り、床は漏水で四六時中濡れている。漏れた水と埃でまるで路地裏を見ているようだ。なぜクラックが入ったのかは不確かだが、おそらく工事でコンクリートをいじくりまわったツケではないだろうか。クラックの入った壁には給排水の管が走っているに違いない。大きな部屋を小さな五つの部屋に割って貸し出したツケだ。


記事としては小さいが、とてもアタシが気になった消息(xīao xīニュース )


・母親がスーパーで万引き「息子に2カ月ぶりの豚肉を」 7月19日20時24分配信 サーチナ・中国情報局
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080719-00000015-scn-cn

「・・・ある中年の女性がスーパーマーケットの豚肉を万引きし、あっけなく捕まるという事件だ。しかしその後、そんな彼女の内情に警察とマスコミは言葉を失うことになる。

 彼女が豚肉を万引きした理由は、2カ月も肉を口にしていない息子に肉を食べさせたいという一心からであったというのだ。その母親は息子に恥をかかせることを恐れるあまり、始終マスコミを回避し、盗みの現場を押さえられたという恥ずかしさとショックのあまり、頭を地と壁に打ちつけたという。

 マスコミも、そのうち事件に関する取材を諦め、警察は彼女を無罪釈放とした。事件現場のスーパーマーケットはこの件につきこれ以上追求しないとし、社会は同情の目を向けた。・・・」

インフレはここ中国で、特に大都市では恐ろしい勢いで上昇している。記者が語りたかったのはその所。


・アモイ:消費者物価6.4%上昇 豚肉52%値上がり 7月19日8時3分配信 サーチナ・中国情報局

「 福建省アモイ市の2008年上半期(1-6月)における消費者物価指数(CPI)の上昇率は6.4%だった。特に食品価格の伸びが顕著で18.5%上昇した。うち豚肉は52.3%、食用油は40.2%それぞれ値上がりした。17日付で新華社が伝えた。」(編集担当:菅原大輔)

当地に住むアタシには実感としてわかる話だ。


・[5/08] blog"春光乱泄的角落"  中日春暖の旅:あるのは永久の友、永遠の仇はない original:(中日暖春之旅:只有永远的朋友,没有永远的仇恨)
http://shangxingwen.blog.163.com/blog/

"春光乱泄的角落"と名うったblogがある。アタシが愛読する一つだ。このblogには、写真のようなイラストが張り付いている。小白脸( xǐao bái lǐan 美少年 )を気取っている。サブタイトルには、「中国第一新闻、評論博客:老子,孔子,庄子不如口袋的一个子」、老子も孔子も村長もポケットの中の一人、に過ぎないと大口をたたいている。

匿名のblogであり、評論博客(ブログのオペレーター)が男なのか女なのか、若いのか年寄りなのかもわからない。普段はエンタメ系の情報を紹介することが多い。そんな彼が政治の話題をしたことがある。胡錦涛主席が日本にやってきたときのことを話題にした。それが「中日春暖の旅:あるのは永久の友、永遠の仇はない」。文中には、「・・・ さよなら、歴史の恨み・・・」とも記されている。

アタシはこのblogのアドレスを、アタシを罵倒した一人のスカイプの友に送った。2008年05月19日[廈門] 見知らぬ愛国者http://blog.livedoor.jp/stocktakeasia/archives/51332565.html
に。


[ MEMO: 写真の彼の最新記事がポール・ダンスのおばさんの話。写真がいい写真が。ひと月ほど前、老舗のクラブに出かけると、舞台には今まで演目になかったポール・ダンスが加わっていた。 ]

Sunday, July 13, 2008

[廈門] Desktop Studio

アタシのデスクトップ・スタジオ [ 桌上工作室 ] 。日々このテーブルと向かい合って過ごしている。洒落た照明器具、見かけはクールな温水ポット、一日二リットル飲みなさいと言われ常に満タンの携帯ポット、これもクール。煙草にそしてこれがなければ何もできない愛用のThinkPad 61Tabletと携帯。彼は写真撮影のためアタシの手の中にある。

4X5メートルの部屋、わずか20m2。そこがアタシのデスクトップ・スタジオ。連日のように三十度を超す真夏日、外にでれば汗が噴き出す。当地の人間は何食わぬ顔をして出歩いているが、アタシには耐えられない。出かける必要も特になければそのまま一日このデスクトップで過ごすこともある。

携帯さえあれば外部との連絡に不便さはない。それにアタシのNokia N95、コーヒー飲みながらでもマウスを使っていても左手だけで扱える。無精者のアタシにはうれしい。中国語仕様に日本語変換ソフトを突っ込んでいるので、英・中・日、マルチリンガル携帯に変身している。今時の携帯には、中国語フォントにひらがな・カタカナ・日本語漢字がデフォルトで組み込まれている。あれこれいじくる必要もない。流石アジアの経済制覇を目指す仕掛けをしっかり押さえている。

愛用のTabletPCはどうだ。キラーソフトが待たれていたTabletPC、ようやく登場といいたい。もともとマイクロソフトが用意していたソフトが、案の定、なんでもできますよの多機能でやたら重い。ユーザーインターフェースもMSオフィスの延長、ペン・コンピューティングを念頭に置いているとは言い難かった。

アタシはアイデア・プロセッサとしてのTabletに期待していた。いつでも、どこでもinkして・Searchして・Gatherしてアイデアを構築していく。MS One-noteのコンセプトは確かに同様な流れだが、ペンの動かし方が不自然だし煩わしい。ペンではキーボードショートカットが使えるわけではない。プログラマーは自分で絵を描いてみたのだろうかという感が強かった。

InkSeine」、TabletPCのキラーソフトになる気がする。いつも紙の上でしていたことに加え、容易に情報を寄せ集め、添付することができる。ペンをあれこれメニューバー上を彷徨わすことなく、操作で思考を妨げることなくアイデアの検討の集中できる。Windowsがお嫌いな方も一度このビデオをご覧になってほしい。悪くない。

[ MEMO: 部屋の大きさってどのくらいが最小限なのだろう。この部屋は20m2しかない、いや、もある、のか。 ]

Monday, July 7, 2008

[廈門] 無聊

・コーヒーが一杯30元?日本円でほぼ五百円だぜ!

物価の上昇がやけに激しい。コーヒーのような嗜好品だけでない、生鮮野菜も激しく価格が上下している。入荷があれば値が下がり、遅れれば倍近い値がつく。魚はスーパーだろうが路上の自由市場だろうがレストランだろうがどこでも肉より高値が付いている。

一方で株価は昨年の三分の一近くに落ち込んできたし、マンション価格も高止まりしていたものの、徐々に下がり始めているという。シンセンあたりでは三分の一も下落したという。人民元と米ドルの関係は直線で高値に向かっている。姐姐の亭主、米ドル契約でホクホクしていたが、当初1米ドル7.6人民元たったものが、今では6.7を切ってしまった。一割以上を失ったことになる。たまったものではない。

あーあ、国の経済とか外為のこととか気にしている場合ではないのだ。「無聊 wu2liao2 暇 」を持て余している場合ではないのだ。自分の置かれている厳しい状況をもっと見つめねば。

・アタシの身の回りを探って何を手に入れたいというのだ!

アタシの元いた会社の二階は幹部の個室になっている。建物全体が吹き抜けになっているおかげで、幹部の動きは一階にいても知ることができる。ボスの一言で幹部があわただしく動き回るさまは、ポチそのものだった。へー、大会社ってそういうものだったんだ、と知らされた。それは今でも変わっていないらしい。

馴染みの珈琲店でよく出会う方がいる。元の会社の影のボスの叔父さん。叔父さん、重役会の時だけ会社に顔を出している。叔父さん、アタシのことを間違って記憶していた。企業集団の他の部門の日本人と勘違いしていた。先日、ようやくアタシの名前を覚えていただいた。叔父さん、さっそく重役会の時にアタシの元ボスにアタシの話をしたらしい。

話をした翌日、ポチの一人、総経理からアタシに電話が入った。今近くにいるから話でもしましょうか。え、今更、もっと前に十分に時間あったでしょ。昼飯を彼からごちそうになったものの、話といえば変わり映えのしない、実現性の乏しい、大きな大きなお話ばかり。その席で元ボスが電話に入ってきた。来週にでも叔父さんと一緒に食事でもしようではないかと。

翌日、今度はもう一人のポチが電話をしてきた。ポチのくせに猫なで声である。[burikinekoさん、今どこに住んでいるの?え?あすこのマンションのなんという名前の棟?部屋は何階?何番?」先日偶然会ってその話はしただろうに、いまさら何?どうも脇に元ボスの影が、電話機の先に透けて見えている。

元ボスは、とっくの前に消えたアタシの何が知りたいというのだろう。影のボスの叔父さんの一言で何をアタフタしているのだろう。知りたいものだ。それにしても「無聊 wu2liao2 つまらない 」会社である。

[ MEMO: 「農村に住みたい」の中で紹介した同安の造り酒屋、前庭に並べられた酒壺の列。残念なのは口にすることができなかったこと。造り酒屋のある農村なんてとても魅力的に映ったのだが、同行した連中からは一応に他にもっといい場所があるあると却下された。いい場所って何?そう、仲間たちのコネが効く場所。 ]

Saturday, July 5, 2008

[廈門] エッ地震?


ドン!ドン!二度にわたって大きな音と建物全体が身震いしたようだ。

昨夕から腰裏の鈍痛が再発した。食欲もわかず、それでも食わなければいけないと出かける。馴染みの羊肉麺店で麺を注文するも、食べ残した。鈍痛は続いている。家に戻っておとなしくベットで休むか、珈琲店で気分を晴らすか。結局珈琲店に向かった。

店から戻る。鈍痛は少しづつ少しづつ増している。気分が悪い。また吐く羽目になるのか。いやだ。横になるといつの間にか眠りについていた。トイレを催し目が覚める。尿が赤みを帯びている。鏡の中のアタシは十は老けたように見える。老人そのものの顔だ。時計に目をやると十二時前、メールをチェックし、馴染みのサイトを訪れ、そしてまた眠りに。

先月初め、物書きの巌さんと食事をした際のこと。burikinekoさん、顔にスケベ風がなくなったなー、と言われた。以前はそれほどスケベに見えていたのかと、喜んでいいのやら嘆かわしいと思うのがいいのやら、判断はつかないが、枯れて見えたに違いない。原因が年なのか他のせいなのか、これも判断できないでいた。

明け方、隣に住むお嬢さんが戻ってきてドアを閉める音で目が覚めたようだ。腰の鈍痛を確かめトイレに立つ。血尿は続いている。一体いつまで続けるというのだろう。それでも初めて発症した時ほどの厳しさはない。しかし不安は付きまとう。石の大きさはどれほどで、あと幾つ残っているのか。

変なことを考え始めた。こんな時のために必要な常備薬って何なのだろうかと。風邪、解熱、下痢、便秘、外傷、感染症、鎮痛剤・・・。解熱と鎮痛剤は座薬がいいらしい。こちらの医者が言ってったっけ、薬は日本、日本が一番。鎮痛剤以外はみな手元に用意してあった。痛み止め、ローマの姐姐はアスピリンの効能を説いていた。いま必要なのはその鎮痛剤だ。考えていても仕方ない、薬屋に行っても薬品名は皆目分からない。商売上手のこちら、変なものを手にしかねない。購入はあきらめ、また眠りに就くことにした。

暑さとマンションの内装工事の音で目が覚めた。外はギンギンに晴れ渡り、空気は恐ろしいほど熱せられている。裸売りのマンション、内装は住み手次第、床壁天井、思う存分いじくりまわっている。コンクリートカッターの音と粉じんが開け放した部屋に入り込む。うんざりし、そしてトイレに立った。腰の痛みは消えていた。石はまた少し下に降りたに違いない。友人の医者いわく、あと一か所難所があると。あと一度かー。ひとまずほっとする。急に腹が減った。

昨夜は身の入らなかったウェブサーフ、腰が軽くなるとすいすいと進む。と、コンクリートカッターをやめさせるに十分な音が、そして建物全体が上下に動いた。何事かと耳をそばだて外に注意を注ぐともう一度、ズンドン!そして建物が再び上下した。百メートルを超す建物の頂上から、数トン級の重量物が地上に激突したような音、工事中の不注意か、はたまた地震か。しかし地震にしては揺れが不自然だ。

第一、ここアモイは地震の発生地として数えられていないはずではないのか。数十年前、当地では大地震とされた揺れで、エアコンの室外機が軒並み落下したことがあるそうだが、それだって、壁に取り付けている架台を見れば落ちて当たり前、われわれ日本人にとって屁の河童でもない。それよりも、建物が上下にだけ揺れる地震は初めて体験した。恐怖であった。内装工事で床壁天井ハツリまくっているのだ、強度がどの程度落ちているのか心配で仕方がない。やな予感がする。

四川大地震の原因に、近くの三峡ダムをあげている研究者がいた。あれだけの水量、地殻に与えるストレスは並大抵ではないという。そうだろう、地球だってシンまで固まっているわけではない。固まっているのは、ほんの一皮、あとは超重量の溶岩、液体なのだ。その三峡ダムのストレスがここアモイにも影響したのだろうか、そうだとしてもおかしくない。知り合いの構造設計者が言ってたっけ、地面の下のことは分からない、解析しようにも無理な話、だと。

アタシの体にしろ、アタシがほんの一部を借りて生きている地球にしろ、あまりいじめない方がいい。

[ MEMO: 夕刻、中国地震ネットから携帯にショートメールが入った。やはり地震、M4.4だそうだ。震源地はアモイと隣接する龙(龍)海市の境らしい。コワ。 ]