Saturday, May 10, 2008

[廈門] Cafe Javaromas

三月末、帰国に際し部屋を解約した。一年契約だったが、三カ月前倒しで部屋を出た。おかげで前頭金の一カ月が戻らなかった。日本から戻ってみると、定住場所がないことの浮浪感みたいなものが出てきた。面倒見のいい人妻が単身公寓というサービスアパートメントを用意してくれていた。そして気がつけば一カ月をここで過ごしていた。本来なら台北か上海かに定住の場を移していたはずである。

掃除は部屋代に含まれているし、一応の調理用具もあるし、洗濯機も冷蔵庫も衛星テレビも見れる。30平方米は優にあり、キングサイズのベットだ。一カ月長期滞在で予約すると一日110元、日本円で約1600円。21階、目の前に国際フェリー埠頭が眺められる。足元には24時間営業の小さいが日常必要なものほとんどが手に入るコンビニがある。毎日のようにピンクチラシがドアの隙間に挟まっていることを除けば、便利で居心地のいい場所だ。

居心地はいいが、仕事には向いていない。有線無線のLANありでネット接続に不自由しないが、問題はデスクだ。ソファデスクではすぐに腰が痛くなる。長時間作業には向いていない。何しろ今はオフィスがない。パソコンが唯一のワーキング・ツールだ。結局、歩いて二十分ほど、人造湖脇の珈琲店に長居しながら作業をしている。運動不足と孤独な日常を回避させる有効な手段になった。しかし毎回25元、400円近くが消えていく。

この珈琲店、Cafe Javaromas for Coffee Lover... という。オーストラリア人が開いた。ボスの名はJames。自分の名前をもじって店の名前を付けたそうだ。二年前、アモイに足を踏み入れて間もないころ、ホテル現場の設計顧問に連れて行ってもらったのが始まり。客は毛唐ばかりという当地では風変りな店だった。家から歩いて五分ほどだったし、何より珈琲らしい珈琲を口にできる店が他になかった。休みの日に一人出かけて行ったものだ。しかし今や半分以上が中国人客にとって代わられている。彼らもコーヒーもピザも口にする時代へと変わってきている。

火曜日は「ピザ一枚注文するともう一枚サービスします」の日。昔はこれ目当てに出かけては一枚持ち帰り、翌日の朝食としていた。しかし今はこの日だけは避けることにしている。何しろ、このサービス、皆に知れ渡り、朝から晩まで客でみせがあふれてしまうのだ。落ち着けるものではない。

半年ほど遅れて麗江の若造が仕事場に加わった。麗江に行くまでの半月、アタシの家に居候していた。部屋を提供してもらっているというので、しばしばこの店に出かけ奢ってくれた、のはいいのだが、丁度この店に新人の店員が加わったばかり、かわいらしい子で、麗江の若造、彼女を見るなり「携帯の電話教えて」・・・。こんな調子だから会社の金で女囲ってボスに見つかってしまうのだ。

彼女、今でもこの店で働いている。毛唐客が多い、客と簡単な英語でのやり取りが必要とあってか、店員の質はほかの店よりもよかった。しかし他の店員は辞めてはまた新人が、そしてまた入れ替わり・・・。何しろ仕事がきついらしい。朝の七時に始まり、真夜中一時閉店。それを一交代でこなさなければならない。手にできるお金も千元に達しない。当時からの顔見知りは今ではわずか二人、チームリーダーだけが残っている。

この店は居心地がいい。落ち着くのだ。ゆったりとした椅子と騒がしくない客たち。いつまで粘っても文句ひとつ言わない店員。無線ランは無料だし(このあたりの店は皆LANサービスを用意している)、みなパソコンを持ち込んでいじくっている。バックグラウンドに流れるサウンドは、古き良きポップス。耳に心地よい。一人ボケっとしていると、英語・ドイツ語・伊太利語・西班牙語、亜剌比亜語に聞きなれない東欧系、韓国語に時には日本語すらも聞こえてくる。そしてもちろん中国語に台湾語も。残念なことに、中国人客が増えるにつれ、携帯の呼び出し音と大きな声でのやり取りが耳障りこのうえなくなってしまった。

ボス、オリンピックを目当てに北京に店を出すらしい。いま改装中だそうだ。

[ MEMO: やっぱり気のおけない仲間はネココ以外ない。ウェッブで見つけた酒飲みネココ。もう一枚あったのだが、それは酔いつぶれたネココ。といっても、だらしなく寝込んでいるネココの脇に人間様が飲みほしたビール缶を添わしただけだが・・・それにしてもネココは可愛らしいのだ。 ]

No comments: