Saturday, December 3, 2005

「幽霊」のなかの仮想敵国

「続:いまさらですが韓流・・・」で少しふれた韓国映画「幽霊」(ユリョン)、なかなか興味深いので再考。話というのは、核ミサイルを積んだ韓国の原子力潜水艦内部で反乱が起こり乗っ取られる。乗っ取った副艦長が目指したのは、核ミサイルを日本の都市に発射しようというもの・・・
監 督がMTV出身ということもあってか、ストーリーはコミックばりの展開。日本と米国を仮想敵国に設定しているとはいえ、反日のイメージはない。処女作とい うこともあって、話題を取りに行ったのかもしれない。しかし、日本人からみると、韓国が仮想敵国に日本を設定するかもしれない、いや、韓国に限らず日本が 仮想敵国にされることを否定できない状況にあるのか、という認識を知らされることになる。
ここ二十年、東アジアのあちこちを旅し、彼らと仕事をし、ときとして思わぬ嫌日感情にふれることがあった。こちらは「何で?」と思うものの、あちらは当然 という顔つきでだ。彼らに対して配慮が足りなかったんだよ、なんてことは言わないでほしい。配慮こそ、「差別」で「嫌日」を肯定することになるから。それ より堂々と仮想敵国日本、という若い映画監督の方がつきあえる。

この十年で急速に発展を続ける東アジアの国々、一昔前の牧歌的な東アジアはどこに行ってしまったのだろう。