Thursday, December 30, 2004

[追伸:台北通信] 12-設計用具は計算器

き れいに撮れていませんが今回のプロジェクト・オーナーの直筆メモです。計画容積の確認を手計算でして見せてくれたものです。私も建物の概要を把握するため にすることはありますが、多くのデベロッパーにとって容積をどれだけ使い切るかは至上命題になります。敷地の条件が整理されると、容積計算から逆算で建物 の縦・横・高さが決まってきます。オーナーはセンチ単位で確認して見せます・・・

こ の計画に限らず、日本の最大手デベロッパーにしても去年蘇州の計画でも、デベロッパーにとって計算器が設計用具になります。こちらが絵にしたものから、彼 らはどの部分をいじればどれだけ面積を上乗せすることができるか、ただただひたすら寝ても起きても考えています。蘇州の女性デベロッパーは、朝起きると別 の条件を我々の元に持ってきました。これならばもっと面積増やせますよね、と。高級別荘地を蘇州の一等地に建てるつもりが、気がついてみるとスラム並の高 密度街区になっていたりしてしまいます。それでも彼らは更なる上積みを追い求めてきます。

この女性が一度、香港の事業者の話を聞きに出かけました。戻ってきたときに私が「計算器の修理はできましたか?」と問いかけました。きょとんとした顔つき をしていましたから、彼女話を理解できなかったようです。幸か不幸かこの計画は中断されました。場所が場所でした。認可が国家レベルにまであがってしまい ました。

私のような設計者は、それでもデベロッパーの意図をくみながら、適切なとか適当なとかバランスの取れたとか時代の中ではなどなどいいながら、デベロッパー のわがままをコントロールする努力は惜しみません。十分嫌われますが、それでも仕事の話がくるというのは、間違ったことをしているわけではないのだと思っ ています。

写真の左下に簡単なスケッチが写っています。これはオオユキサンのコンセプトはもっともだが、と言いながら私はこうしたいと彼が描いて手計算を始めたきっかけをつくったものです。

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