Monday, October 4, 2004

「斗六」という鉄道駅 (台湾・南投懸)

台 湾の台中という中都市から普通電車でおおよそ半時間南に下ります。そこに斗六(tou2 liu4)・トロクという駅があります。斗六は小都市、大学のあるのんびりとしたところです。竹で作られた住宅のある山間に行く中継場所にあたります。文 筆家でもある建築家の友人と訪れたこの駅で、彼と私は斗六と書かれた駅の名前を気に入りました・・・ 
我 々は台湾の建築職人に会う旅をしていました。鹿港という古い町で廟をつくる棟梁を訪れます。戦前、日本の大林組から学んだ技術と、正しい日本語を誇りにし ていたようです。会って話をしようとすると、お前が話す言葉は日本語ではないと叱ります。かつては木造の廟を造っていましたが、今はコンクリート造の時 代、木造の形体を模したものに変わってしまいました。

台湾東海岸にある、日本時代の官舎を改修する計画を立てているのですが、とお話しすると、うれしそうな顔で「やるなら早くしてくれ、あんまり時間がないか らな」というご返事でした。もうお年です。木造の建物をもう一度やりたい、と言っていただきましたが、残念ながらこの計画は頓挫します。棟梁、今どうされ ているでしょうか。

続いて向かったのが竹構造の住宅の棟梁。中部山岳地帯、台湾大地震の震源地に近かった鹿谷に住まわれています。この鹿谷に向かうにはバスか車。我々が選んだのが斗六という駅からタクシーを拾うというものでした。(この棟梁との出会いとお話については [こちら] をご覧ください。)

竹住宅の棟梁は再訪した私を覚えていませんでした。しかし話し始めると記憶が蘇ってきたようでした。別れ際に、またお会いしましょうね、というと脇で息子 さんが、ボケが始まっているから・・・といってました。今度お会いしてももう、私の記憶が蘇ることはないかもしれません。

夕方、台北に向かうため斗六駅の改札を通り抜けます。列車の来る間、月台(プラットホーム)で目の前にしたのがこの写真です。「斗六」という発音の響と漢 字が醸し出す雰囲気に、私たちは気に入りました。、私は建築家でもある文筆家に、是非斗六という名を持った登場人物の小説を提案したのですが、はたして書 いてくれるでしょうか。まだ彼の本に斗六は登場していません。

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